"The Philip Experiment"(創作した架空の幽霊を召喚したという実験)の謎を解く。

The Philip Experiment

初出

"The Philip Experiment"(創作した架空の幽霊を召喚したという実験)の謎を解く。 (2020-11-13)


前置

・最近の「謎を解く」シリーズの記事が、どれも ネタの小出し になっていると批判されるのはよろしくないので、今回だけは読み切りにしてみた。 ・だが、読み切りにすると非常な手間暇を要する。それゆえ、今日は他の記事が一切書けない。やはり、読み切りは 無理があると実感。とてもダルい。もうしない。

予備知識

・"The Philip Experiment" については下の過去記事で詳しく取り上げた。 1972年、"The Philip Experiment":創作した架空の幽霊を召喚したという実験(途中:その6) (2019-07-11)

これまでの経緯

・この "The Philip Experiment" が捏造ではなく、事実だという複数の第三者の証言もある(上の過去記事)。作家の Lyall Watson と Dan Greenburg がこの実験に直接参加しており、事実だと証言している。 ・さて…。この "The Philip Experiment" が事実だったと仮定した時、
  ・人間の意識が、幽霊や悪魔や精霊と言った架空の存在を「文字通りの意味で」実体化させている。
 という仮説、つまり「人間の潜在意識の外在化」やチベット仏教の Tulpa(思念の実体化)などが成立するのだろうか? ・上の過去記事で
多重人格は既に専門家者の間で認められて久しい。Philip Aylesford の霊の召喚実験は、 Tulpa の如きキテレツなものを想定せずとも、多重人格的な(or 投影された)仮想的人格と ESP 現象が結びついたものとして解釈するほうが無理がない。 ref: 1972年、"The Philip Experiment":創作した架空の幽霊を召喚したという実験(途中:その6) (2019-07-11)
 と私は過去記事で述べた。だが、たまたま上の過去記事を見直していて気づいたことがあり、大きく以下のように意見が変わった。

オカルトを排除した常識的な解釈でこの謎は解ける

・"The Philip Experiment" の謎を解くのに、   ・Tulpa は不要、   ・「人間の潜在意識の外在化」も不要、   ・私の従来の説の「仮想的人格+ ESP 現象」も不要  であり、   ・合理的思考と常識に基づいた、SIH 仮説(今、テキトウに命名w)で謎が解ける  と判断するに至った。さらにこの SIH 仮説により Dan Greenburg の証言した記憶の欠落、
・Dan Greenburg はこの降霊会に参加したが、その場には Lyall Watson もいた。テーブルが浮遊する現場にいわせ、それを目撃した。 ・後に、 Lyall Watson の著書を読んだら、この事件のことも記載されていた。読み進めると、浮遊したテーブルが Dan Greenburg を追いかけ回したと書いてあった。 ・テーブルが浮遊したのは事実だが、テーブルが私を追いかけ回したというのは事実ではない、 Lyall Watson の悪質な捏造だ…そう Dan Greenburg は憤慨した。 ・だが、一応、念の為に自分(Dan Greenburg )の著書を取り出して、この事件に関する箇所をチェックしてみた。すると、テーブルに追いかけ回されたと自分で書いていた。驚くべきことに、テーブルに追いかけ回されたことが、すっかり自分の記憶から脱落していた。
 の生じた機序の説明が可能となる見通しも(薄っすらとだが)見えてくる。

SIH 仮説

・降霊会はなぜ暗くし、周囲を幕などで覆うのだろうか? 召喚する幽霊が灯りを嫌うからか? 闇に紛れて幽霊を捏造するためか? → たぶん最大の理由は、降霊会は集団催眠誘導行為によって参加者の  被暗示性(2022-05-22 誤記訂正:元は非暗示性)   を極度まで高め、幻覚の体験会になっているからだろう。言い換えれば一種の LSD/DMT 摂取パーティに似ている。 ・この実験は「架空の幽霊」を長時間かけて共同創作し、その上でその創作した幽霊を召喚するという降霊会(Seance)となっているが、この降霊会は実質的に参加者自身による催眠暗示の共同誘導行為となっている。 ・その催眠暗示によって、以下のような幻覚を参加者は共同体験した。   ・創作された架空の幽霊の顕現と応答。   ・テーブルが浮遊し、参加者のひとりがそれに追いかけ回された。 ・集団で行う催眠暗示による幻覚であるから、何度も何度も繰り返すことで全員の無意識に浸透させる必要があり、「成功するまでにはかなりの準備期間を要した」。 ・テーブルに追いかけられたという幻覚をその場の参加者の誰かが体験し、その状況報告をリアルタイムで耳にした他の  被暗示性(2022-05-22 誤記訂正:元は非暗示性)  が高まった参加者もその幻覚を共有することになる。 ・衆人環視の舞台の上の被験者が、催眠暗示の言葉だけで鶏や豚になったと信じることが起きるのであるから、テーブルに追いかけられるくらいの事は容易におきる筈。

記憶の欠落が発生した機序

・SIH 仮説が正しければ、「テーブルに追いかけ回された」という記憶は、実体験の記憶ではなく、幻覚体験の記憶となる。 ・この幻覚体験自体は、「覚醒間際の夢」と似通った特徴をもつことが(ある程度は)期待しうる。 ・覚醒間際の夢は直ちにメモしないと、起床直後に忘れ去ってしまうのは誰もが体験している事実。 ・それゆえ、「テーブルに追いかけ回された」という記憶はその本人でさえ、時とともに完全に忘れ去ってしまうことも、起こりうる。

おまけ

・程度の差はあれ、たぶん(あの Scole Experiments を含む)全ての降霊会で SIH 仮説が成立しているのでは?  ・UFO を目撃したが直後にその体験をすっかり忘れ去ってしまい、自分が目撃直後に書き残したメモなどでようやく思い出した…そいういう奇妙な事例を過去記事でいくつも取り上げた。たとえば…   1994年10月、バージニア州:一部が透明な全長 300m の三角形型 UFO を至近距離で目撃(途中:その2) (2014-05-21)   Linda Zimmermann が自身の UFO 目撃体験と、謎の記憶の欠落を証言 (2020-06-28)   Richard Dolan : UFO 目撃直後の不可解な忘却 (2019-01-20)   1998年8月2日:UFO をビデオ撮影した直後、家の内部から UFO 内部に引きこまれた (途中:その1) (2015-06-26) ・退行催眠で思い出した UFO/ET/abduction 体験の記憶も幻覚体験の記憶の(催眠施術者と被験者による)共同創作という面とは別に、上述の機序で忘却した過去の幻覚体験の記憶の想起という面があるのかも。 ・そういった一連の謎の忘却事例はこのような機序で生じているのではないか。

SIH 仮説の確信度は…

・正直、この記事の場合、「謎を解く」と言えるほど強く確信しているわけではない。Philip Experiment の詳細を私は把握していないので SIH 仮説が簡単に論駁されるようなデータがあるのかも知れない。 ・その意味で「この記事の」タイトルには若干のハッタリがあるw 。ハッタリ分を割り引いて読まれたい。それでも Tulpa だの思念の実体化だのよりはマシな筈。

蛇足

・SIH 仮説はごく平凡で常識的な発想なので、たぶん SIH 仮説に類した説明は私が知らぬだけで既になされているはず。 ・SIH 仮説に付随した、記憶の欠落の生じる機序に関する説明だけは、いくらかの新規性があるとは思いたいところ(だが、それもたぶん専門家の間ではよく知られ、研究されている筈)。 (2020-11-13)


追記(2022-05-22)

  • この記事の中で述べている「UFO 目撃直後の不可解な忘却」という現象については、現在の私は、より具体的に

  ・EMF 異常による一時的な「意識障害+記憶障害」

 が招いた結果だと判断している。