Jeremy Rifkin ：AI は絶対に人間を超えることはない、なぜなら…

(2016-03-15 begin）

Singularity ― 近い将来、AI が人間を凌駕する時点が到来するのは不可避だという主張 ― がギーク（理科系オタク）の間で盛んになっている。
だが、社会思想家の Jeremy Rifkin がキッパリとそれを否定しているので紹介する。彼のその情熱的な主張の論拠を聞いた瞬間、不意を突かれた…という気がした。彼の論拠には妙にリアルな説得力があり、宗教的・哲学的な意味である種の深い洞察や真理（の断片）をその奥に備えているようにすら思える（が、錯覚かも知れぬ…w）。
以下の抜粋の文章では、その「深い洞察」の部分がゴッソリ欠落している。私の言語化能力が乏しいこともあるが、彼の主張の奥にあるはずの「深い洞察」が理解の手からすり抜け、淡い予感レベルでしか捉えていない…という実感がある。それが欠落の最大の理由。
従って下の役立たずな抜粋など無視して直接、 1:25:00 からの 7分間の発言を聴くことを勧める。
1:25:00 まではスキップ推奨。それまでは彼が本（コメントを参照）で扱った話題を詳しく語っており、 AI やSingularity とは関連が薄いゆえに。

1:25:00 あたり 1:32:00 までタイトルの件。
1:27:20 からその本質的な理由を語っている。
1:29:20 から。AI は「絶対に Turing test にパスしえない」し、人間を超えることもありえない。
- なぜなら AI は感情移入や共感を持てないゆえに。
- 人間は死ぬ運命にあり、一度限りの人生を生きている。そして苦しみの多い世界に生きている。それゆえに感情移入や共感がある。
- 人々は誤解してる。死のない世界（いつまでも生き続けられる世界）や苦しみのない世界（天国、理想郷）には感情移入や共感はありえない。その死のない世界で AI は機能する。
- 1:31:30 感情移入や共感こそが人間の経験であり（人生の意味であり）人間の思考そのものなのだ。

"The Zero Marginal Cost Society: The Internet of Things, the Collaborative Commons, and the Eclipse of Capitalism"

"The Third Industrial Revolution: How Lateral Power Is Transforming Energy, the Economy, and the World"

(2016-03-15 end）

(2023-02-26 begin)

上の記事は 7年前のものだが、Jeremy Rifkin の問題の発言部分は今聴いても「深い洞察」を感じさせる。なので、元の動画がまだ Youtube に存在するうちに、核心部分の切り出し動画を添付しておく。彼のこの発言部分は未来に伝える価値がある。
なお、元の Youtube 動画には音声書写（自動生成）が付与されてない。

切り出し動画の中で、Jeremy Rifkin は AI が Turing test にパスしないと主張してるが、 Turing test は本質ではないし、全く重要ではない（アレはジョークでしかないという AI の指導的立場の専門家もいるほど）。
つまり、AI が Turing test に完全にパスしたところで（実際、そう遠くない将来、ほぼほぼパスする時代がやってくる筈）、 Jeremy Rifkin のここでの主張は無傷でそのまま通用する。むしろ、 AI が Turing test にほぼほぼパスする時代になった時にこそ、彼のここでの洞察が輝きを増す。
私も Jeremy Rifkin とは違った方向からだが、（演算処理による） AI が意識を持つことは原理的に不可能だと考えている(*1)。