「覚醒した意識が視る世界は精妙で色鮮やかだ」という精神世界の定説の誤謬

(image source: https://www.alexgrey.com )

はじめに

  • Preston Dennett の体験談を導入部の題材として、タイトルの件を説明する。

  • なお、原題は「Preston Dennett : OBE 中に亡き母に遭遇、母の案内で精妙な死後の世界を訪問」



前置き

- Preston Dennett が彼自身の OBE 体験談を語っている。何年もかかってようやく安定して OBE が可能になるまでの話や、それ以後に OBE 中に試みた様々な実験の結果について具体的に述べている。 - OBE 関連の本やセミナーの類で聞きかじった話ではなく、彼自身の体験を率直に述べている。

手抜き

- 20:00 PD: 亡き母に OBE で出会った体験。あちらの世界はこの日常世界よりも全てが精妙でリアルだった。色はより鮮やか。喩えると、あちらの世界の光景が 4K カラー映像だとすると、この日常世界のそれは白黒 TV の映像だ。 - host(Jeff Kingsbury): その話はよくわかる。私が DMT 摂取で見た情景も全くそのとおりだった。

動画(1:36:55)

SR Ep. 54 Preston Dennett & New Worlds On Demand

コメント1

- 一般に、OBE で情景が日常世界のそれより遥かに色鮮やかに見えるようになるまでにはある程度の習熟が必要。未熟な間は視野は狭くて薄暗く、ぼんやりと見えるもの。

コメント2

- 特殊な意識状態(=深い瞑想、OBE, NDE, DMT/LSD 摂取、高等魔術による高度な意識操作の技法…などがもたらす非日常的な意識状態)で見る情景は、とても印象深く、色鮮やかに見える。たとえば、大沼忠弘は次のように表現している。
これは澄んだ、透き通った、実に精妙、繊細な光と色の交錯から成る視覚像で、顔料の色彩や自然光、人工光の色彩とは全く次元を異にしている感じである。一度この光に照らされたら、地上のあらゆる宝玉、絵画、建築の美もこの光景の無骨な模造品でしかないことを悟るだろう。 大沼 忠弘 『実践カバラ―自己探求の旅』人文書院 1988-02、250~264頁 ref: メモ:薬物と神秘体験と光 (+追加) (2016-04-01)
- 特殊な意識状態で見る情景が色鮮やかなのは、その世界が精妙だからだと言われてきた。精神世界の定説では日常世界は粗雑で、高い意識状態でのみ到達できる世界(アストラル世界の類)は精妙だとされてきた。だがそれは真逆。 - 最初に DMT や LSD を経験すると誰もがその色と光の鮮やかさに驚愕する。その鮮やかさに比べると日常世界のそれはまるで白黒だ、死んだ色だ、偽物の色だと感じる。この実感自体に嘘はないが、実際のところは、おのぼりさんが物珍しさに眼を眩まされているようなもの。 - DMT 摂取で見る情景も Preston Dennett が OBE で感嘆した情景もネオンの如く派手なだけ。本当は日常世界の色の方が遥かに精妙。幼児や精神がまだ幼い人間は派手な色、純色に惹かれるもの。彼らには利休鼠の色の深みが理解できず、派手なネオンのような光や色に惹かれる。サイケデリックな絵画に惹かれているようでは、墨だけで描いた白黒の禅画のもつ深みは理解できない(禅を全否定する私が言うのも何だが…w)。 - 特殊な意識状態で見る情景が色鮮やかなのは、それが粗雑な造り物だからであって、その世界が精妙だからではない。精神世界の定説は転倒している。 - これをわかりやすく音で喩えると…。特殊な意識状態で見る光と色は、純音、つまり歪を全く含まないきれいな正弦波に相当する。純音は歪を全く含まないのでこれ以上の澄んだ音はない。純音は自然界には存在しないし、一般の楽器でも生み出せない。楽器が出すどの音階の音(たとえば A4 のラ音)も、無数の異なった純音成分が含まれている。つまり純音からは程遠い。 - だが、純音には人を惹きつける艶も響きも音色も一切が欠けている。人の歌声、バイオリンの絶妙な艶、ピアノの和音の響きこそが「精妙な音」であり、純音は造り物の「死んだ音」でしかない。 - これと同じことが色と光でも言える。DMT や LSD で見る光と色は、特殊な意識状態で見る光と色は、純音のもの珍しさでしかない。ど派手なので目を惹き、自然界に無いから物珍しいだけ。 - 本来であれば、やがてその単調さに飽きる筈だが、特殊な意識状態は永続せず一時の体験でしかないゆえに、慣れることがない。それゆえ、空虚な光と色を精妙な幽玄な世界の実在だと誤解して飽かずに生涯それを追い求め続けることになる。 - このことは UFO や Bigfoot を実在だと信じて生涯追い求めてきた Butch Witkowski の人生を思い起こさせる。
- Butch Witkowski もそうだが、彼らは人生の大半を UFO/超常現象/オカルト の追求と解明に費やしてきた。その謎の正体が何も掴めぬまま、その解明の緒すら掴めぬまま人生を終えることになった。それは彼らにとって、とても心残りなことだが、一方で謎が謎のままであり続けることが彼らの「救い」にもなっている。 ref: 追悼:Butch Witkowski が(心臓疾患で)死去。享年 74 (2022-01-14)
(2022-02-22)

初出

Preston Dennett : OBE 中に亡き母に遭遇、母の案内で精妙な死後の世界を訪問 (2022-02-22)

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