【編】計算機アルゴリズムでは意識を作れない。そのシンプルかつ直観的な証明

(image source: "Ghost in the Shell" (1995))



前置き

- …を思いついたので記録しておく。 - この証明(当然ながら証明というほど厳密なものではありえないが、分かり易くそれなりの説得力もある証明的な比喩にはなっている筈)の副産物として   ・この世界は simulation ではありえない。 ことも導出できる。 - とはいえ、以下は私の無知を晒しているだけのような気もする。それはそれでいたしかたない。所詮、どうあがいても実力相応の発想しかできないものだから。

証明(的比喩)の大筋

- (1) いかなる数(例: 0, 9, 1, 777, π=3.1415..., 1/3, 2.5, √2 など )も意識を持たない。これは当たり前の話。 - (2) どんなに巧妙かつ複雑な計算機アルゴリズムであっても、たった一つの数で表現できる。(ゲーデル数の仕組みを連想せよ) - (3) よって、どのような計算機アルゴリズムであっても意識は作れない。 - なお、これは John R. Searle の「中国語の部屋」の論法に若干、類似している。

予想される反論

反論 1

- 本質は「静的な」アルゴリズムではない。アルゴリズムが実行している「動的なプロセス」が本質なのだ…といった反論が予想できる。 - だが、その「動的なプロセス」の全てもまた、ひとつの数で表現できる。

反論 2

- 数は所詮、たんなる数だ。実行しているアルゴリズムのプロセスが持つ「意味(=情報)」が本質なのだ…といった反論が予想できる。 - だが、その論法が通用するのであれば、   ・アルゴリズムは所詮、たんなる計算だ。意識が持つ「意味」が本質なのだ。 となり、計算処理による意識の実現は否定される。

要点

- 数は意識を持たない。 - アルゴリズムは計算処理である。 - 全ての計算処理は、それ自体をひとつの数で表現できる。 - よって、どのようなアルゴリズムであっても意識は持ち得ない。言い換えると、アルゴリズムで意識を実現すること(≒ simulatation すること)はできない。

量子計算によるアルゴリズムでも意識を実現できない(気がする)

- 工夫すれば量子計算を用いたアルゴリズムにも (2) が適用できそうな気がする。 - その場合、量子コンピュータでも意識は実現できず、Roger Penrose が主張した仮説(微小管が…のアレ)も潰える。 - つまり、従来型であれ量子計算であれ、どのような手段を用いようがアルゴリズムでは意識は実現できない。

この世界が simulation ではありえないことの証明

意識を作る方法は存在する

おまけ

… (2022-12-12)

初出

【編】計算機アルゴリズムでは意識を作れない。そのシンプルかつ直観的な証明 (2022-12-12)