精神世界やオカルト・ファンが贔屓にしていた「量子論の retro-causality(逆因果性)」を現在の専門家は否定している
前置き
タイトルの件は何年も前に記事にしたつもりだったが、抜けていたようだ。新たに最初から書き直すのはダルいので、AI との対話で代替えしておく。
AI との対話
Me:
量子論の話題。1998年の Scully と Druhl による論文 "delay choice quantum eraser" の解釈として、retro-causality (未来の出来事が過去の事象へ遡及するという解釈)が示唆されていたようですが、現在の専門家の主流的判断はそれを否定していますよね?
はい、その通りです。ScullyとDruhlによる1998年の「Delayed Choice Quantum Eraser」の論文は、量子力学の非直感的な性質を非常に興味深い形で示しましたが、その解釈については依然として議論が続いています。
Retro-causality の示唆について
「Delayed Choice Quantum Eraser」では、観測選択が光子の振る舞いに影響を及ぼす様子が、あたかも未来の測定が過去の事象を決定しているかのように見えます。この現象が retro-causality(未来から過去への因果の遡及)を示唆しているかのように解釈されたこともありました。しかし、これは実際には観測された「因果性の逆転」というよりも、量子力学の相関性や非局所性の結果として理解するほうが適切だと考えられています。
現在の主流的見解
現在の量子力学の専門家の主流的な見解としては、retro-causality を必ずしも受け入れていません。その理由は以下の通りです:
- 量子力学の形式論:
量子力学の標準的な形式(コペンハーゲン解釈や多世界解釈など)において、retro-causalityを明示的に必要とするものはありません。これらの解釈は、観測や情報の更新を時間的順序と無関係 に扱える性質を持つため、「未来から過去への因果」を仮定しなくても結果を説明できます。
- 情報の伝達:
retro-causalityが真実であるなら、情報を未来から過去に送ることが可能になるかのように思えますが、実際には量子力学の非局所性は「情報伝達」には使用できません。これは特殊相対性理論の因果律を維持するためです。
- 非局所性の解釈:
Delayed Choice Quantum Eraserのような実験は、非局所的な相関性が空間的にも時間的にも表れることを示していますが、これをretro-causalityではなく、量子状態が全体的な系として振る舞う性質の一部と解釈するのが一般的です。
- 実験データ:
実験データは量子力学の予測と一致しており、retro-causalityを仮定しなくてもこれらを完全に説明できます。主流の物理学者の多くは、retro-causalityを追加の仮説として必要としないことを強調しています。
Retro-causality を支持する少数派の意見
一部の物理学者や哲学者は、retro-causalityが量子力学の奥深い仕組みを説明する手段として有用であると考えています。特に、因果律に対する根本的な見直しを提案する理論的フレームワーク(例えば、時間対称量子力学)では、retro-causalityが役立つ可能性があります。しかし、これらは標準的な量子力学の枠組みではなく、補 助的な仮説に過ぎません。
結論
Delayed Choice Quantum Eraserは量子力学の非直感的な側面を明らかにしていますが、現在の専門家の間では、retro-causality を必要とせずにその結果を説明できるとする見解が主流です。この実験はむしろ量子状態の非局所的な性質と、情報の整合性を保ちながら因果律が破られない点を強調しています。
(2025-01-25)