Brian Muraresku の説く「人類史上最大の秘密」: DMT による超越体験とは何なのか?
要旨
Brian Muraresku の
- 人生における「人類史上最大の秘密」
というオハナシを取り上げ、その主張の背後にある精神世界に蔓延する錯誤を解説する。
ついでに、精神世界に蔓延している神話(=錯誤)の具体例として「DMT による超越体験とは何なのか?」を説明する。
履歴
(2024-08-19) タイトル一部変更
(2024-08-18) 書式変換(FC2Blog → markdown)。文字起こし+和訳 の追加。
(2022-03-13) 【編】Brian Muraresku : 人生における「人類史上最大の秘密」を説く…w (途中1)
前置き
Brian Muraresku という人名をフィルター用に記録。
Brian Muraresku は「幻覚性キノコが人間の脳のサイズを増加させた。それによって人間の意識の進化をもたらした」という Terrence McKenna の後釜的立場を狙っている人物。
彼はその主張を本(下)に書いている。その内容を要約したと思しき動画が今回のネタ。
手抜き
彼の決め台詞、サビ的フレーズが下。DMT 摂取でそれ(=不死)が可能になることを示唆している。
If you die before you die, you won't die when you die. That's the key. I call it the immortality key. (00:15)
...
If you die before you die, you won't die when you die. (00:12:18)
Well, if that's the best-kept secret in history, maybe it's time for the secret to get out.
DeepL 訳
死ぬ前に死ねば、死ぬときに死ぬことはない。 それが鍵です。私はこれを「不滅の鍵」と呼んでいます。
もし、あなたが死ぬ前に死ねば、あなたは死ぬときに死なない。 それが歴史上最高の秘密だとしたら、 その秘密が暴かれる時が来たんだ
動画(13:49)
The Best-Kept Secret in History - Brian Muraresku
コメント1
Brian Muraresku 本人はこのフレーズに何か深淵な意味があると思い込み、得意になってこれを掲げて見せている。だが、この手のフレーズは見てくれだけで中身が何もない。禅も見てくれだけで中身が空っぽだが、その安っぽい真似事になっている。
この手の「深淵な神秘的洞察めかした戯言のフレーズ」にはいい加減、飽き飽きしている。
コメント2
タイトルの、人生における「人類史上最大の秘密」について言えば…
- 世界には隠された究極の秘密(=魂の救済、無条件の愛、神との合一、タオとの合一、神秘体験、悟り、解脱…などなど)があってそれをどうやってか獲得すれば、どえらいことが達成できる(=ゲーム・クリア)
というオハナシが普及している。
科学者なら大統一理論がそれだし、ギーク(理系オタク)w なら Singularity (*1)がそれだろう。一昔前の神秘主義者ならカバラだのチベット仏教だの、Carlos Castaneda の創作した Don Juan の教えの類に、現代の神秘主義者なら DMT や 5-Meo-DMT の類(*2)に手を出すことだろう。
だが、人生における「人類史上最大の秘密」があるとすれば、
- 世界には「隠された究極の秘密」など無く、あるのは「隠された究極の秘密」という虚構だけだ
がたぶんソレだろう。
この図式は「UFO の謎」にピッタリ当てはまる。
UFO だけではない。「死後の世界」に も当てはまる。「神とは何か?」にも「解脱とは何か?」にも「真理とは何か?」にも「本当の私とは何か?」にもそのまま当てはまる。「汝自身を知れ」というよく知られたフレーズの「汝自身」にも当てはまる。これらは全て虚構に過ぎないのだが、人は「隠された究極の秘密」をそこに見出し、それを人生をかけて追い求めている。
コメント3
この Braian Muraresku もそうだが、DMT についてみんな誤解している。確かに DMT 摂取ではしばしば超越的と表現するしかないような体験(*3)がおきる。だが、それは「連れて行かれた」のであって自分でそこに至ったのではない。しかも一時的。薬効がきれれば淡い気分が残るだけ。
無数の精神世界信者が DMT を摂取し、そういった超越体験をしてきたが、摂取前と何も変わらない。相変わらずくだらぬ精神世界のヨタ話にドップリとハマっている。人格も知性も摂取前と同じレベル。何らかの enlightenment を得たと自認して傲慢になった分だけ悪化したとも言える。
(*1)
Noam Chomsky : Ray Kurzweil の主張する Singularity は「科学的な空想物語」だ (2016-01-01)
Jeremy Rifkin :AI は絶対に人間を超えることはない、なぜなら… (2016-03-15)
Jaron Lanier : Singularity はギークのイカれた宗教にすぎない。 (2019-03-14)
Richard Dolan : Transhumanism 信奉者(Singularity 信奉者を含む)は最強かつ最悪の幻想に冒されている。 (2018-12-29)
Singularity:ギーク(理科系オタク)の信奉する携挙 (+追加) (2016-04-28)
(*2)
Scott Adams:かつて幻覚キノコを摂取し、以後は世界を見る目が一変した (2017-11-11)
Grant Cameron : DMT 摂取で 5分間の間に数千の世界の経験、数千年の経過を経験したと聞いた。 (2021-09-19)
DMT は脳内での量子論的並行宇宙間の干渉のための触媒だ…という説の動画 (2014-10-17)
Grant Cameron :アヤワスカを摂取した女性が直後に UFO/abduction を体験 (2020-12-21)
Rick Strassman:DMT で体験する世界は(脳の産物ではなく)実在するようだ (+追加2) (2017-06-09)
Rick Strassman:DMT 摂取時の体験と abductee の体験が極めて類似している (2017-06-05)
「Strassman の DMT 実験」で被験者の半数が abduction に酷似した体験 (2018-03-26)
Anthony Peake : 癲癇が「この現実の裏側に存在するリアリティ」を認知するドアを開いた。(途中:その2) (2020-03-21)
DMT 摂取、瞑想、NDE、チャネリングで究極の答えを得たのに、気づいたら全てを忘れているのはなぜか。 (途中2) (2021-07-06)
Desta Barnabe : 100% 現実で、完全に目覚めて体験していると実感 → 後に現実ではないと判明 (2021-07-23)
Dr. David Luke : DMT 摂取した二人が同時に同じ生物に対面した事例 (2020-08-03)
Grant Cameron : DMT で遭遇する存在は、高次元に実在する極めて知的な生物だ。 (2020-04-29)
Richard Dolan : DMT 摂取による ET との接触には懐疑的だ。 (2020-04-24)
Anthony Peake : DMT 摂取で遭遇する未知の存在は、幻覚ではなく実在している…という説。 (途中:その2) (2020-03-14)
James Oroc : DMT と 5-MeO-DMT の大きな違いは… (2020-02-18)
David Jacobs : abduction 現象は(遠隔視や DMT などの)未解明の意識作用とは無関係だ。 (2020-01-24)
Grant Cameon : CIA の "Project MKUltra" の主目的は洗脳ではない。意識の未知の作用を軍事利用することが主目的だった。(途中:その1) (2019-12-05)
Bentinho Massaro : DMT が生み出すような幻覚世界を、体験できる瞑想方法 (2019-11-07)
Richard Dolan : 進化した意識は DMT などでは得られない。反省的認識や批判的思考という辛く苦しい努力でのみ達成できる。 (途中:その1) (2019-10-17)
Richard Dolan : アヤワスカや DMT で人間の知性の限界を超えることは無理。 (2019-01-25)
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Anthony Peake:この現実世界の奥に隠れた真実の世界があり、それを垣間見ることができる。 (2018-06-13)
Leo:存在とは何か? (途中:その3) (2017-07-25)
Leo:5-MeO-DMT は「完全な悟り」を得る最も効果的かつ完璧な方法だ (途中:その1) (2017-06-08)
(*3)
- DMT による超越体験とは何なのか?
… …
(2022-03-13 end)
(2024-08-18 begin)