天国が実在し、魂が死後も存続しても、「あなた」は天国に入れない。なぜなら…
前置き
すぐ忘れる雑ネタなので記録しておく。この程度の話は、誰かがより精緻かつ説得力のある形で述べている筈。それゆえ、以下は新鮮味のない凡庸な内容でしかない。
仮定
次のふたつ、
-
天国や極楽のような場所がどこかに実在する
-
人間は死後も魂が存続する
を仮定する。ほぼ全ての 宗教/精神世界 の教えはこのふたつの仮定を前提としている筈。
このふたつの仮定から、
- 「あなた」は天国に入れない
ことを導出する。なお、「あなた」が
- どれほど 神/仏/超越的存在 を真摯に求めていても、
- どれほど徳を積んでいても、
- どれほど真面目な信徒であっても
そんなことにはお構いなしに、「あなた」は天国に入れない。
以下、その理由を わかりやすく 説明する。
case-1: もしも「あなたがそのまま」天国に入れたら、そこはもう天国ではなくなる
仮に「あなた」がめでたく「そのままストレートに」天国に入れたとする。すると、どうなるか? 童話と違ってハッピー・エンドとはならない。なぜか?
「あなたがそのまま」天国へ入れるのであれば、
- 「あなた」が日頃から 疎ましく思い、嫌っている「アイツ」や「あの野郎」も「あのバカども」も「あのウザい奴ら」も皆、天国に入れる
- 「あなた」が劣等感を抱いている「彼ら」も天国に入れる
- 「あなた」が優越感を抱いている「あんな輩ども」も天国に入れる
- 「あなた」より金持ちも、貧乏人も天国に入れる
つまり、「あなた」が天国へ入れるということは「天国への入国審査基準」はガバガバのユルユルで、普通の人間なら誰もが入れることになる。(あなたは「自分は普通の人間ではない。自分は特別なんだ」なんて思っていたりしないよね? そう思うこと自体が特別ではない証なんだけど)
当然、天国の住人の多くは皆、「あなた」とさして変わらぬレベルで構成されていることになる。
何のことはない、折角入った天国は、生きてい た時の現実世界と変わらないことになる。天国の住人の多くがかつての現実世界のそれと変わらぬレベルなのだから、そこはもう「天国」ではなく、現実世界と同く「浮世のしがらみ」に縛られた欲望と羨望と嫉妬と憎悪と嫌悪が渦巻く閉塞感にまみれた世界でしかない。
まさか、
- 天国にはいった途端に、自分が天使や菩薩のような完全無欠の人格に変貌する(or 本来の優れた霊性を 獲得/回復 する)
…なんて誰も思っていないよね? もしもそうなら、下の続きを読んで正気を取り戻すべき。
case-2: もしも、「漂白・滅菌処理後に」天国に入れたら、天国に入るのは、もう「あなた」ではない
天国には、完全な徳性と美点を備えた完全無欠の魂しか入れないとなれば、
- 天国にはいった途端に、「あなた」は天使や菩薩のような完全無欠の人格に変貌する
しかない。つまり、あなたは「漂白・滅菌処理」を受けた後に天国に入ることになる。
だが、その「漂白・滅菌処理」で落とされる「汚れ・腐敗そして雑菌の塊」こそが「あなたの本質」なので、「あなた」は天国には入れない。
つまり、天国に入れるのは、「あなたという汚れ・腐敗そして雑菌の塊」ではなく、その下地素材だけということになる。
要するに、
- 「汚れにまみれ、腐敗が横行し、雑菌だらけのこの現実世界」(*1)に 見事に/なんとか 適合しているからこそ、
- 「あなた」はこの現実世界で生活できているのであって、
- 不適合なら、とっくに自殺しているか、精神病棟で過ごしている筈
(*1)
「汚れにまみれ、腐敗が横行し、雑菌だらけのこの現実世界」を 成立/維持 させているのは何か? 腐敗を無制御のまま放置すると腐敗が急速に進行し腐敗が自壊して消えてしまう。焚き火の枯れ木が一気に燃え尽きるようなもの。そこで焚き火の勢いを微妙に調整するように、腐敗の勢いも微妙に調整する必要がある。腐敗という焚き火の火の気を維持しつつ、燃え尽きないように調整する。
その調整装置が「天国や極楽」というオハナシ。腐敗が一気に爆発的に進行するのを抑え、かつ腐敗の火の気も維持する制御弁の役目を担っている。 つまり、「天国や極楽」は(現実世界での)欲望を肯定し掻き立てるという意味で腐敗の火種維持装置であり、腐敗の勢いの調整装置でもある。
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(2025-02-12)