メインコンテンツまでスキップ

CSICOP の共同設立者(Marcello Truzzi)が、科学教原理主義陣営によって CSICOP を追い出された経緯

· 約7分

前置き+コメント

Marcello Truzzi は

  • 並外れた主張には並外れた証拠が必要 "exceptional claims require exceptional proof"

というフレーズの発案者(*1)で、

CSICOP(Committee for the Scientific Investigation of Claims of the Paranormal)

の共同設立者だった人物。

その彼が、CSICOP から追い出された経緯を整理した。

CSICOP の主要メンバーの イカれっぷり がよくわかる逸話。組織が過激派に乗っ取られ、どんどん先鋭化しやがて原理主義者の巣窟と化した…というよくある話。

Gemini 2.5 Flash

マルチェロ・トルッチがCSICOP(Committee for the Scientific Investigation of Claims of the Paranormal)を共同設立し、後に辞任した経緯は、彼が科学的懐疑主義と超常現象の調査に対する異なる哲学を持っていたことに起因します。

以下にその詳細を敷衍します。

  • CSICOPの設立とトルッチの役割: CSICOPは1976年に、超常現象に対する科学的調査を促進することを目的として設立されました。マルチェロ・トルッチは、ポール・カーツ、マジシャンのジェームズ・ランディ、心理学者のレイ・ハイマンらとともに、その共同設立者の一人でした。トルッチは、CSICOPの公式機関誌である『The Zetetic』(後に『Skeptical Inquirer』と改題)の初代編集者も務めました。

  • 意見の相違の発生: しかし、設立から約1年後の1977年頃、トルッチとCSICOPの他のメンバーとの間で意見の相違が生じました。主な対立点は以下の通りです。

    • 「真の懐疑主義」と「疑似懐疑主義」: トルッチは、懐疑主義を「疑い深い探求者(skeptical seeker)」と定義し、超常現象の主張を「先入観なく」調査すべきだと考えていました。彼は、調査前に主張の妥当性を判断する「懐疑論者」を批判し、これを「疑似懐疑主義(pseudoskepticism)」と呼んでいました。トルッチは、疑似懐疑主義が「正直な探求を妨げる」と主張しました。
    • 組織のスタンス: CSICOPの多くのメンバーは、超常現象の主張に対してより「確固たる反対」の姿勢を取り、積極的に「超自然的な主張を攻撃する」ことを望んでいました。これに対し、トルッチは、科学と疑似科学が「共に幸福に存在する」ことを望み、組織が「公平な探求」の態度と「科学的権威」の立場を両立させるべきだと考えていました。彼は、CSICOPが「弁護士のように振る舞い」、主張を評価する前に却下する「暴露主義的な姿勢」を取っていると批判しました。
    • 超常現象の支持者の参加: トルッチは、組織に超常現象を支持する人々や、超常現象に関する研究を機関誌に含めることを望んでいました。しかし、CSICOP側は、すでに超常現象に特化した十分な組織や雑誌が存在すると感じていました。
  • 辞任とその後: これらの意見の相違が原因で、トルッチは1977年8月にCSICOPを辞任しました。彼の辞任は、グループの執行評議会からの不信任決議を受けたものでした。 CSICOPを離れた後、トルッチは自身の雑誌『Zetetic Scholar』を創刊し、引き続き「ゼテティシズム(zeteticism)」という言葉を推進しました。これは、彼が「疑似懐疑主義者」によって「乗っ取られている」と感じた「懐疑主義」の代替として提唱したものです。

要するに、マルチェロ・トルッチは、CSICOPが当初の目的である「偏見のない科学的調査」から逸脱し、超常現象の主張を一方的に否定する「疑似懐疑主義」に陥っていると感じたため、組織を辞任したということです。

(*1)

Etzel Cardeña の発言。世によく言われている Carl Segan や

最初に "Extraordinary claims demand extraordinary evidence." と言ったのは誰? (2013-11-28)

で取り上げた J. William Schopf とは確言できないようだ。Marcello Truzzi が本当に最初に言い出したのかどうかも確認が難しい。

(2025-07-06)