Ben Hansen が喧伝する「FBI 直伝の身振りや表情から嘘を見抜く技法」の信頼度を事実確認(fact check)⇒ やはり TV 演出用の誇張
前置き
Ben Hansen は
Ben Hansen : UFO/ET 事件でも、証人の仕草や声の分析で真偽が 80-95% の正確度で判定できる (2024-11-29)
FC2Blog: Ben Hansen : UFO/ET 事件でも、証人の仕草や声の分析で真偽が 80-95% の正確度で判定できる。 (2021-09-07)
と主張し、(Obama 大統領を含む)多くの証言者のインタビュー映像を元にその発言の真偽判定を事細かに述べるという芸を披露するのが彼の十八番になっている。
私は Ben Hansen のその主張を
同じ目的で嘘発見器は多用されるが、Ben Hansen が自慢する仕草や声の分析による真偽判定の技法が使われることはごく稀。なぜなら判定者の勘や主観が判定結果大きく左右するから客観的といえるレベルには至っていない。当然、裁判所でも証拠として認めない。
実際、Ben Hansen が自慢するこの方法は、対照群(演技者など)を用いたより厳密な実験では散々な結果となっており、専門家の信任を失っているという報告も眼にしたことがある。
Ben Hansen の場合はもっと悪いことに TV 放送の録画 映像を見て、出演人物の些細な仕草から深い意味を「読み取って」いるが、これではフロイト流の夢判断や易者の手相読みとやっていることは同じ。つまり Ben Hansen はUFO 業界の「(表情読みの)占い芸人」でしかない…これが私の評価。
と強く批判してきたが、そのような批判は私だけではない(*1)。
今回は、AI (ChatGPT-4o と Claude 3.5 Sonnet)に Ben Hansen の主張がどこまで事実なのかを確認してみた。
(*1)
たとえば、徹底的な情報収集と冷静な分析で定評のある Jimmy Akin も
Jimmy Akin :「仕草や身振りから他人の本心を読み取れる」という主張は疑わしい (2024-09-14)
と述べている。
ChatGPT-4o の解答
Q)
よく、TV などで 先の「行動分析(仕草などから分析する手法)」が FBI でも犯罪捜査に活用していると喧伝されていますが、どの程度まで事実ですか?
FBIや他の捜査機関が「行動分析」(仕草や微表情など)を犯罪捜査に活用している、という話は確かに広く知られていますが、その実態には多くの誤解や誇張があります。以下で事実と誇張について整理します。
事実としての行動分析の利用
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プロファイリングの一環としての利用
FBIには「行動科学ユニット(Behavioral Science Unit)」や「行動分析部門(Behavioral Analysis Unit, BAU)」があり、犯罪者の心理や行動特性を分析することが捜査の一環として行われています。- 具体的には、犯行の手口(modus operandi)や署名行動(signature behavior)を基に、犯人の性格や動機、背景を推測するものです。
- ただし、これらは犯罪現場や証拠のパターン分析が中心で、目撃者や容疑者の仕草や表情を直接分析するわけではありません。
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非言語コミュニケーションの訓練
捜査官は、尋問やインタビューの際に非言語的なサイン(仕草、表情、声のトーン)を注意深く観察するよう訓練を受けています。これは、被疑者が緊張しているか、特定の質問に過剰反応しているかを把握するためです。- 例えば、視線の動きや手足の動きが、ストレスや嘘を示す可能性があるとされています。
- ただし、これらは補助的な指標であり、確定的な判断には使われません。
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実際の運用範囲
FBIは行動分析を犯罪捜査のツールの一部として使用しますが、それは他の証拠や情報と組み合わせて活用されます。単独で容疑者を特定したり、虚偽を断定したりすることはありません。
誇張や誤解
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TVドラマの影響
「クリミナル・マインド」や「Lie to Me」などの人気ドラマが、FBIが行動分析を万能のように利用しているという誤解を広めました。これらの作品では、捜査官が一瞬の仕草や表情で嘘や動機を見抜くように描かれていますが、実際には科学的根拠が十分ではなく、誇張されています。 -
科学的な問題点
- 非言語サインの不確実性: 仕草や表情は人によって大きく異なり、嘘や感情と直接的な因果関係があるわけではありません。緊張やストレスは状況によって誰にでも起こり得る反応であり、虚偽や罪の証拠にはなりません。
- 文化的バイアス: 非言語的な行動は文化によって異なるため、一部の分析は普遍的な基準として使えません。
- 科学界の批判: マイクロエクスプレッション(微表情)に基づく嘘の判定は、心理学や神経科学の分野で信頼性に 疑問が呈されています。
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捜査官の認知バイアスのリスク
行動分析を過信すると、捜査官が自分の直感や先入観に基づいて誤った判断をするリスクが高まります。これは冤罪や不正確な捜査の原因となる可能性があります。
科学界の見解
行動分析や非言語的な嘘検出に関する研究は進んでいますが、これらが実務で有効であるという証拠は限られています。特に、仕草や微表情を使った嘘の検出については以下のような批判があります:
- 非言語的サインはあくまで「参考情報」であり、嘘や犯罪を断定するものではない。
- 高度に訓練された専門家であっても、嘘の判定に成功する確率はせいぜい50~60%程度であり、ランダムな推測と大差ない。
結論
FBIなどの捜査機関は行動分析を補助的なツールとして利用していますが、それが万能な技術であるわけではなく、TVドラマが描くような超人的な活用は現実とは異なります。実務では、行動分析は他の証拠や情報と組み合わせて慎重に用いられており、それ単独で虚偽や犯罪を特定することはほとんどありません。