モルモン教の石見 "Seer stone"

前置き
精神世界では昔からパワー・ストーンの類が流行っているが、モルモン教も同じ…という話。モルモン教の開祖が多用したのが上の写真の石。
対話
Me: その「「石見(seer stone)」を使って埋蔵金を探すという行為」の石見とはどのようなもので、どういった操作をするのですか?
ジョセフ・スミスが埋蔵金探しに使用した「石見(seer stone)」は、非常に興味深い道具であり、末日聖徒イエス・キリスト教会の歴史において重要な位置を占めています。
石見(Seer Stone)とは
- 外見: 複数の証言がありますが、一般的にジョセフ・スミスが使っていたとされる石見は、卵形でチョコレート色(または濃い茶色)の石だったとされています。
- 起源: スミスは、幼少期から埋蔵金探しに関心があり、この石を畑で掘り出したとされています。彼は、この石が特別な力を持つと信じていました。
- 役割: スミスは、この石を通して、失われたものや埋蔵された宝物、そして後に『モルモン書』の翻訳まで、様々な「神聖な情報」を見ることができると主張しました。
埋蔵金探しの操作方法
埋蔵金探しの具体的な操作方法は、当時の証言や教会関係者の記録から、以下のように説明されています。
- 石の使用: スミスは、石を帽子の中に入れます。
- 顔を覆う: 外部の光が遮断されるように、顔をその帽子の中に埋めます。
- 「見る」: 暗闇の中で石を見つめると、石が光を放ち、埋蔵金の場所や埋蔵物の情報が映し出される、とスミスは説明しました。
この方法には、視覚的な刺激を遮断し、集中力を高める効果があったと考えられています。スミスは、この方法で埋蔵金の場所を「見て 」いましたが、実際に宝物を見つけることはほとんどありませんでした。このため、依頼主はしばしば失望し、これが詐欺の告発につながる一因となりました。
後の『モルモン書』の翻訳における石見
興味深いことに、この「石見」は、後に『モルモン書』の翻訳にも用いられました。
- 翻訳方法: スミスは、金版を直接見ることなく、この石見を帽子の中に入れて、翻訳を口述したとされています。彼は、石を通して文字や文章が映し出されるのを見て、それを口頭で伝えたと伝えられています。
- もう一つの「解訳器」: スミスは、この石の他にも、『モルモン書』の金版と共に受け取ったとされる「解訳器(Urim and Thummim)」という2つの石も使ったとされています。
このように、ジョセフ・スミスの「石見」は、彼の初期の埋蔵金探しの行為から、末日聖徒イエス・キリスト教会の教典である『モルモン書』の翻訳まで、彼の人生と宗教活動に深く関わっていました。
Me: そのスミスが使ったという石見は今はどこにあるのですか? 金版と共にどこかに保管されているのですか?
ジョセフ・スミスが使っていた「石見(seer stone)」は、現在、末日聖徒イエス・キリスト教会が所有し、ユタ州ソルトレイクシティにある教会の金庫に保管されています。
一方、「金版(golden plates)」は現存していません。スミスは、『モルモン書』の翻訳を終えた後、天使モロナイに返還したと述べています。そのため、金版を物理的に確認することはできません。このため、末日聖徒イエス・キリスト教会では、金版の存在を証明するものとして、スミスと共に金版を見たとする「三人の証人」と「八人の証人」の証言を重視しています。
石見の現在
スミスが埋蔵金探しや『モルモン書』の翻訳に使ったとされる茶色の「石見」は、彼の死後、ブリガム・ヤングを経由して教会の指導者たちに受け継がれ、現在まで教会が保管しています。2015年には、末日聖徒イエス・キリスト教会が初めて石見の写真を公開し、教会の歴史におけるその役割を公に認めました。
金版の現在
金版はスミスが天使から受け取ったものとされ、彼が翻訳を終えた後、再び天使に返還されたと伝えられています。教会は、金版の存在は信仰の対象であり、物理的な証拠として残されていないとしています。そのため、金版は教会施設にも個人のコレクションにも存在しません。
そういえば…
イスラムでも "the Black Stone" (ハジャル・アル・アスワド)という石がカーバ神殿での巡礼での「目玉」となっている。その石が下。なんとなくアレを連想させる形状。

ref: https://en.wikipedia.org/wiki/Black_Stone
蛇足
(2025-08-11)