薬剤(バルビツール)による記憶回復の具体例
要旨
UFO/ET 問題において abduction 中の体験の 部分的 or 全般的 な記憶喪失が高頻度で発生している(*1)。
その対処として、退行催眠などによる記憶の回復が試みられているが、薬剤の使用例はほとんど無い。
これに若干関連して、薬剤による記憶回復の臨床事例を見かけたので、参考資料の一つとして記録しておく。
(*1)
これらの症状は、一時的な 記憶障害/意識障害 だと私は判断している。根拠は下の過去記事で説明した。
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Whitley Strieber : 頻繁に missing-time を経験している (2022-04-18)
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missing-time に似た症状で苦しんだ頭部を負傷した軍人が脳の手術で回復 (2022-09-16)
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車で移動中の二人が同時に数時間の missing-time を経験 ⇒ この謎を解く (2023-05-19)
abductee の証言:missing-time 体験の直前・直後で意識は欠落せず、完全に連続している ⇒ この謎を解く(+追加) (2024-08-29)
書籍から引用
麻酔療法に関する極めて鮮やかな記述を残しているのは、一九四三年にチュニジアの戦場で執筆したロイ·グリンカーとジョン·スピーゲルである。
彼らの論文はジョサイア·メイシー·ジュニア財団によって直ぐさま出版され、戦争神経症の治療法を医師たちに教育するために航空医務官、陸軍航空軍によって幅広く配布された。著者らは薬物を奇蹟の自白剤として描いているわけではないが、薬物が何らかの点で患者の記憶回復に役立ち、精神科医の手助けを受けられるだけの情報を語ったことは確かである。とある患者は緘黙の歩兵で、自分の名前すら思い出せなかった。バルビッール静脈注射を投与すると――
患者は振戦もなく、静かにベッドに横たわった。それから、自分はカイラワーン峠にいて、迫撃砲が降り注いでいる、と言った。「迫撃砲」という言葉が出た瞬間、彼は慄え始めた。 …… それから …… ベッドを出て、泣き喚いた。「スティーヴ! スティーヴ、大丈夫か?」。 …… それか ら、よろめきながら室内をうろつき、何かを探している。時折しゃがみ込む。あたかも迫撃砲の音が聞こえるかのように。それから恐怖に慄え、地面にうづくまった。 ……
「その時、迫撃砲が飛んできて、直ぐ傍の各個掩体壕に着弾したんです。 …… 私は吹っ飛びましたが、すぐに立ち上がり、各個掩体に向かいました。そこには二人の兵士がいました。 …… 上にいたのは曹長でした。死んでいました。頭が割れていました。 …… もう一人の兵士が下にいました。まだ生きていましたが、脇のところが裂けていて、肺が見えていました。泣いていました。
神様、今もその泣き声が聞えます。私は気分が悪くなり、頭がおかしくなりました。何も考えられません。慄えが来て、ほとんど動けません。 …… 砲弾は周りに降り注いでいます。 …… 今も砲弾の音が聞えます。 …… もう前線には戻れません。もうごめんです …… 」。
ここまで話すと、患者は片手で目を覆い、軍医官の肩に頭を埋めた。それから突然にっこりして言った。「名前を思い出しました。F …… です。住所も思い出しました。神様、こうして話せるなんて、何という奇蹟でしょう」。
出典
ジョエル・ディムズディール (著)、 松田和也 (翻訳)、『洗脳大全: パブロフからソーシャルメディアまで』、青土社 (2022/2/14)、p. 70
コメント
以前から『洗脳大全』1という本は見かけていたが、そのタイトルのせいで2で手に取ることもしなかった。
だが、Youtube でこの本の著者(Joel Dimsdale: 精神医学が専門の名誉教授)がこの本の内容を概説している動画(下)を見かけ、至極まっとうな内容だったので、この本を入手した。
動画(58:16)
Dark Persuasion - The History of BRAINWASHING from Pavlov to Social Media
www.youtube.com/watch?v=bWl8FXhdEio
動画概要欄
928,600 views Oct 31, 2021 #brainwash #psychology #pavlov
ジョエル・ディムズデールが最新刊『Dark Persuasion』について語る: パブロフからソーシャルメディアまでの洗脳の歴史』では、拷問や宗教的改宗から始まり、神経科学やソーシャルメディアの時代へと洗脳の進化をたどっている。ディムスデールはカリフォルニア大学サンディエゴ校精神科の名誉教授である。
Joel Dimsdale discusses his latest book “Dark Persuasion: A History of Brainwashing from Pavlov to Social Media,” which traces the evolution of brainwashing from its beginnings in torture and religious conversion into the age of neuroscience and social media. Dimsdale is distinguished professor emeritus in the Department of Psychiatry at UC San Diego.
(2024-09-10)