Michio Kaku : 究極の理論、量子コンピュータ、UFO/UAP を語る
概 要
ミチオ・カク: 量子コンピュータが宇宙を解き明かす
このビデオでは、理論物理学者のミチオ・カク博士が、量子コンピュータの台頭とそれが社会の様々な側面に与える影響について論じています。
彼は、アインシュタインが追い求めた「万物の理論」の解決に量子コンピュータが役立つ可能性や、医療、エネルギー、セキュリティといった分野での革命的な進歩を説明しています。
さらに、量子コンピュータの基礎となる量子の原理、ムーアの法則の限界、そしてエイリアンの文明の分類や未確認飛行現象に関する最新のデータについても考察が展開されています。この広範な議論は、物理学の未来と私たちの存在そのものに対する深い洞察を提供しています。
目次
詳細
ブリーフィングドキュメント:ミチオ・カク博士の量子コンピューターと宇宙論
1. 物理学への情熱と「万物の理論」の探求
ミチオ・カク博士は、8歳の時にアルベルト・アインシュタインの未完の「万物の理論」について知り、「神の心を読み解く」と言われる1インチほどの長さのその方程式に魅了されたことが物理学の道に進むきっかけだったと述べています。
- 「神の心を読み解く」理論: アインシュタインが人生の最後の30年間を費やして追い求めた「万物の理論」とは、宇宙のすべての基本法則を要約するものであり、カク博士は「神の心を読み解く」ことを可能にする方程式だと表現しています。
- ストリング理論: 現在、この「万物の理論」の最有力候補はストリング理論であり、カク博士自身もストリング場の理論の創始者の一人として、この方程式の発見に貢献しようとしています。
- 量子コンピューターの役割: この「万物の理論」を解明するためには、膨大な計算能力が必要であり、カク博士は「量子コンピューターだけが、 万物の理論が存在するかどうかという問題をいつの日か解決できるほどの十分な力を持っている」と語っています。
2. 量子コンピューター革命
カク博士は、デジタルコンピューターが既に社会に大きな変革をもたらした一方で、量子コンピューターが「次の革命」をもたらし、デジタルコンピューターを「そろばんのように見える」ものにすると予測しています。
- デジタルコンピューターの限界(ムーアの法則の終焉): トランジスターが原子数個のレベルまで小型化され、電子が飛び移ることで短絡を引き起こすため、ムーアの法則(コンピューターの処理能力が18ヶ月ごとに倍増する)は限界に達しつつあります。この停滞はコンピューター産業に「不況」を引き起こす可能性があると指摘されています。
- 原子レベルでの計算: 量子コンピューターは「原子、物質それ自体の究極の構成要素で計算する」新しい世代のコンピューターであり、デジタルコンピューターのゼロとイチの二進法とは異なり、「電子が同時に複数の場所に存在できる」という量子物理学の原理に基づいて、あらゆる可能性を同時に計算する能力を持っています。
- 量子コンピューターの圧倒的な速さ: デジタルコンピューターが迷路の中のネズミの経路を一つずつシミュレーションするのに対し、量子コンピューターは「可能なすべての左右の経路、ネズミの可能なすべての経路を同時に、瞬時に解析する」ため、「原理的には無限に速い」とされています。
- 広範な影響:
- 経済: 量子コンピューターは経済のあらゆる側面に影響を与える可能性があり、特に肥料の製造(窒素からアンモニアを作る秘密を解き明かす)や核融合発電の安定化に貢献する可能性があります。
- 医療: 現在の試行錯誤による薬の創出から、「分子レベルで病気をモデル化」し、コンピューターの記憶内で分子実験を行うことで、根本的に医療を変革する可能性があります。これにより、「不治の病を治療できる」と期待されています。
- セキュリティ: 量子コンピューターは「どんなデジタルコードも破る力を持っている」ため、現在の暗号化された国家機密やインターネット上のデータセキュリティに大きな影響を与えます。例えば、デジタルコンピューターが何百年もかかるような桁数の大きな因数分解を「ほぼ瞬時に」行うことができます。
- 競争と投資: Google、IBM、Honeywellなど、大手テクノロジー企業が量子コンピューターの開発競争に参加しており、ウォール街もこれを「次の大きな投資」と見なしています。競争に加わらない企業は将来的に「無関係になる」と警告されています。
- 誤解の是正: 量子コンピューターの普及によって医師や科学者が失業するのではなく、「量子コンピューターを使用しない化学者や生物学者」が失業の危機に瀕するとされています。量子コンピューターは「大工がハンマーを使う」ように、専門家の能力を増幅させるツールとして機能します。
- 現実との関連: 我々の体を含む「生命」自体が量子力学に基づいており、DNAやタ ンパク質などの分子の動きはデジタルコンピューターではシミュレーションできません。量子コンピューターは、生命の基本的な化学をシミュレーションすることで、生命の秘密を解き明かす可能性があります。
3. 計算機の歴史と量子コンピューターの起源
カク博士は、コンピューターの歴史を先史時代のアナログ計算から紐解き、量子コンピューターがその進化の頂点に位置すると説明しています。
- アナログコンピューター: 人類は古くから数を数えるために、棒や骨、歯車などを使ったアナログコンピューターを利用してきました。
- チャールズ・バベッジとエイダ・ラブレース: チャールズ・バベッジは巨大なアナログコンピューターを構築し、エイダ・ラブレースはそれに命令を与える「プログラム」の概念を考案した「世界初のプログラマー」とされています。
- アラン・チューリングとデジタルコンピューター: 第二次世界大戦中、ドイツの暗号解読のためにアラン・チューリングが登場し、ロジックと数学を用いて計算を単純な操作の連続に還元する「チューリングマシン」の概念を確立しました。現在のすべてのデジタルコンピューターはチューリングマシンであり、ゼロとイチで動作します。
- リチャード・ファインマンと量子コンピューター: ノーベル賞受賞者であ るリチャード・ファインマンは、「トランジスターをどれだけ小さくできるか」という問いから、究極のトランジスターは「原子」であると気づきました。原子はオンオフだけでなく「あらゆる方向へ同時にスピンする」ことができ、これが量子コンピューターの「同時計算」能力の源泉です。
- チューリングの悲劇: アラン・チューリングは第二次世界大戦で英雄的な貢献をしたにもかかわらず、同性愛を理由に逮捕され、ホルモン注射による処罰を受け、自死しました。カク博士は、Apple社のロゴのリンゴがチューリングの悲劇を象徴しているという説に触れ、彼の功績が世に知られていないことを「歴史の悲劇」と述べています。
4. 量子優位性と課題
量子コンピューターはすでに特定のタスクでデジタルコンピューターを凌駕する「量子優位性」を達成していますが、実用化にはまだ課題があります。
- 量子優位性: 量子コンピューターが特定のタスクにおいてデジタルコンピューターを凌駕する時点であり、すでに数年前に達成されています。現在は、より一般的な計算機を目指す競争が繰り広げられています。
- キュービット: デジタルコンピューターが「ビット」(ゼロかイチ)で計算するのに対し、量子コンピューターは「キュービット」で計算します。1つのキュービットは「アップとダウンの間にあるオブジェクトのすべての可能性」を表し、現在の量子コンピューターは数 百のキュービットをモデル化でき、将来的には数千から数百万を目指しています。
- コヒーレンスの維持(ノイズ問題): 量子コンピューターの最大の課題は「デコヒーレンス」、つまり電子の波が同調して振動する「コヒーレンス」を維持することです。コヒーレンスが失われると「ノイズ」となり、計算が不可能になります。これを防ぐためには、液体ヘリウムなどで「絶対零度に近い温度」まで冷却する必要があります。
- 自然の知恵: カク博士は、光合成が量子力学的なプロセスであり、自然界は「室温でコヒーレンスを生み出す」ことができるのに対し、人類はまだその技術を持っていないと指摘し、「マザーネイチャーは私たちよりも賢い」と述べています。
- クラウドベースの未来: 将来的には、量子コンピューターがスマートフォンに内蔵されるのではなく、スマートフォンが「クラウドにある一連の量子コンピューター」と通信することで、超並列計算にアクセスできるようになると予測されています。
5. シミュレーション仮説と並行宇宙
カク博士は、宇宙がコンピューターシミュレーションであるという仮説について、物理学的な観点から考察しています。
- 「マトリックス」からの問い: 映画「マトリックス」のように、宇宙がコンピューターシミュレーションである可能性が議論されていますが、カ ク博士は「おそらく違う」と答えています。
- シミュレーションの困難さ: 何兆もの原子の動きをシミュレーションするには、天文学的な量の情報が必要であり、現代のコンピューターでは不可能です。原子は量子力学に従うため、その位置を正確に知ることはできません。また、「バタフライ効果」により、小さな初期の揺らぎが巨大な影響を与えるため、正確なシミュレーションは極めて困難です。
- 並行宇宙とエンターテイメント: 宇宙がシミュレーションではない一方で、マーベルコミックスやアカデミー賞受賞作「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」など、エンターテイメント業界で「マルチバース(多宇宙)」の概念が人気を博しているのは、量子論やストリング理論における並行宇宙のアイデアが起源であると指摘されています。
6. 地球外生命体と宇宙の文明分類
カク博士は、地球外生命体の知性をコンピューターで分析する可能性と、宇宙文明のエネルギー消費に基づく分類について解説しています。
- 知性の定義: 地球外生命体の知性は、人間の知性とは異なる可能性があるため、コンピューターがイルカの鳴き声からパターンを分析するように、アルゴリズムを用いて知性の存在を特定できると述べています。
- 文明の分類(カルダシェフ・スケール):
- タイプI(惑星型): 惑星のすべてのエネルギー(天候、地震、火山など)を制御できる文明。
- タイプII(恒星型): 太陽のエネルギーを利用できる文明(例: スター・トレックの惑星連邦)。
- タイプIII(銀河型): 銀河間を航行し、ブラックホールを操る文明(例: スター・ウォーズの帝国)。
- タイプ0(現在の地球): 石油や石炭などの死んだ植物からエネルギーを得ており、このスケールでは「評価されない」。
- 光速突破とプランクエネルギー: 宇宙間を移動したり、ブラックホールに入ったり、光速を超えるためには、宇宙最大のエネルギーである「プランクエネルギー」を達成する必要があり、タイプIII文明のレベルに相当します。カク博士は、人類がこのレベルに到達するには「おそらく10万年以上」かかると見積もっています。
- UAP(未確認空中現象)とデータの重要性: 過去にはUFOなどの目撃情報はデータ不足のため軽視されてきましたが、現在では米海軍が「飛行特性を計算できる何時間ものビデオテープ」の存在を認め、データが蓄積されつつあります。これらの未確認飛行物体は「音速の20倍まで移動でき、水中でも飛行し、ジグザグに動く」といった、現在の地球の工学を超えた技術を示していると指摘されています。
- 情報開示のシフト: 過去には目撃情報を報告したパイロットが左遷されるなど、データ収集が妨げられていましたが、現在では市民の圧力により情報公開が進み、「これらのものが地球外のものではないと証明する」責任が軍側に移ったと述べています。
このブリーフィングドキュメントは、ミチオ・カク博士の広範な知識と未来に対するビジョン を要約したものです。量子コンピューターの可能性、ストリング理論による「万物の理論」の探求、そして宇宙における我々の位置付けについて、深く考察されています。
この世界が simulation ではない理由
量子コンピューターと宇宙の法則というより大きな文脈において、「我々はシミュレーションの中にいるのか?」という問いについて、ソースは以下のように説明しています。
古代から人々は「世界は夢なのか?」「我々の周りの全ては、私たちを試すために神が作り出した幻想なのか?」という問いを投げかけてきました。この現代版が、「宇宙はコンピューターゲームなのか?」「私たちは宇宙のどこかにあるコンピューターの法則に従って踊る操 り人形に過ぎないのか?」「すべては基本的に偽物なのか?」という問いです。
ミチオ・カク博士は、この問いに対する答えを「おそらくノー」としています。その理由は非常に洗練されたものです。
- 膨大な計算能力の必要性: たとえば、天気をシミュレーションするためには、何兆、何京もの原子の動きをシミュレーションする必要があり、どのコンピューターもそこまで強力ではありません。部屋の中の原子でさえ、その動きをシミュレートすることはできません。さらに、蝶が羽ばたくと、それが波紋を広げ、最終的に嵐になるという「バタフライ効果」のような現象をシミュレートするには、途方もない量の情報が必要となります。ゴールドフィッシュ・ボウルの中の原子をモデル化するだけで、10の25乗(1の後に25個のゼロが続く数)もの情報が必要とされます。したがって、夢のモデルを作成するために必要な情報量は途方もないものになります。
- 原子の量子力学的性質: 原子は量子力学的であり、量子原理に従います。そのため、原子が特定の時点でどこにあるか、正確には分かりません。部屋の中には無限の数の可能な宇宙(状態)が存在する可能性があり、仮想的な方法で原子から架空の宇宙を作り出すことは数学的に不可能です。
- 量子物理学の根底には、電子が複数の場所に同時に存在できるという事実があります。この性質が量子コンピューターの力の源であり、それらは並行宇宙上で計算を行うことで、デジタルコンピューターができないことを可能にします。
- 有名なシュレーディンガーの猫のパラドックスは、箱を開けるまで猫が「生きている」と「死んでいる」という2つの状態に同時に存在するという「重ね合わせ」の状態を示しています。これは、測定を行うまでは、猫が同時に複数の状態、実際には任意の数の状態に存在できるという量子論の基礎です。
- スティーブン・ワインバーグは、これをラジオの例で説明しています。部屋には海賊や恐竜、UFOなど、あらゆる種類の波が存在しますが、我々の「ラジオ」は一つの周波数にしか同調しておらず、一つの現実しか認識できないのです。我々が恐竜を見ることはできませんが、それらはそこに存在しており、我々はもはやそれらと相互作用できないのです。
これらの理由から、ミチオ・カク博士は、計算上の複雑さと現実の量子力学的性質を考えると、我々がコンピューターシミュレーションの中に住んでいる可能性は極めて低いと考えています。
また、エンターテインメント業界で人気のある「マルチバース」(並行宇宙)の概念は、Marvel Comicsの映画やアカデミー賞受賞作「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に見られるように、量子論や弦理論といった純粋な物理学の進歩から生まれたものであり、ハリウッドで最もホットなテーマとなっています。これは、物理学の概念がどのように広範な文化に影響を与えているかを示す一例です。
UFO/UAP について
地球外生命体と宇宙文明というより大きな文脈において、ソースは未確認航空現象(UAP)や円盤型飛行物体(Flying Saucers)について、データに基づいた新たな見解と、それらが示唆する可能性を説明しています。
歴史的に、物理学者が空飛ぶ円盤、UAP、地球外文明について尋ねられた際、最も重要なのはデータでした。かつては、夜空に何かを見たという個人的な証言だけでは不十分であり、客観的な証拠がほとんど収集されていませんでした。しかし、最近になって状況は変化しました。
ソースによると、未確認航空現象(UAP)に関する情報は以下の通りです。
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データの利用可能性の変革:
- 現在、ついにデータが入手可能になりました。
- アメリカ海軍は、これらの物体の特性を分析できる何時間ものビデオテープの存在を認めています。
- これにより、証明の負担が変わり、軍はこれらの物体が地球外のものではないことを証明する責任を負うことになりました。
- これは、市民の圧力と情報公開法(FOIA Act)を通じて、一部の機密情報が公開されたことによるものです。
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UAPの驚くべき特性:
- これらの物体は、何であれ、マッハ20(音速の20倍)までの速度で移動でき、マッハ5からマッハ20まで非常に急速に加速できます。
- 信じられないかもしれませんが、水中、空中、そして宇宙空間を飛行でき、ジグザグに動きます。
- このようなジグザグ飛行中の遠心力を計算すると、いかなる生物も潰されてしまうことが示唆され、これは地球上のいかなる技術をも超えた、新しい工学の法則を必要とします。
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未解明な現象の割合:
- 目撃情報の約90%は、自然現象、気象観測気球、気象異常、または隕石で説明できます。
- しかし、10%は既知の工学の法則に反しているように見え、非常に注意深く調査する必要があります。
- 中には、複数のモード(視覚とレーダーなど)による複数回の目撃情報がある「ゴールドスタンダード」の事例も存在します。
- 例えば、1980年代のJAL便の事例では、2つの物体が隣を飛行し、視覚とレーダーで追跡され、その 後3つ目の物体が出現しました。しかし、パイロットがこの事実を発表した後、彼らはデスクワークに降格され、航空業界全体に衝撃が走り、その結果、近年までデータがほとんど収集されませんでした。
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宇宙文明との関連:
- 物理学者は、宇宙に知的生命体の兆候があるか、そして彼らがどれほど進んでいるかについてしばしば考えてきました。
- 地球外文明は、エネルギー消費に基づいて分類されます(タイプI:惑星規模、タイプII:太陽規模、タイプIII:銀河規模)。
- これらのUAPの特性、特に光速を超える可能性や、宇宙間を移動する能力は、タイプIII文明が達成するであろう「プランクエネルギー」(ビッグバンやブラックホールのエネルギー、宇宙最大のエネルギー)に到達する必要があることを示唆しています。
- 地球外文明に出会うとすれば、彼らは私たちよりもおそらく10万年ほど進んでいるでしょう。
- 現在、私たちはタイプII文明からの特徴的な熱放射を探していますが、まだ見つかっていません。しかし、これは彼らが存在しないという意味ではなく、私たちの装置がまだ原始的であるため、彼らの存在を決定的に示すことができていないだけです。
これらのUAPに関する新しいデータと分析は、我々が知っている物理法則を超越した技術の存在を示唆しており、それが地球外生命体、特に高度な文明の存在と結びつけられる可能性が議論されています。