BBC 制作動画 : インドのロープ・マジック記録動画映像を UK 科学者が分析したドキュメンタリー

前置き
BBC が制作した動画から、開始 34:13 までの範囲に絞る(以後は主題が逸れている)。
BBC 制作の番組…という時点で既にバイアス(= 凡庸な BBC 的判断基準)が予想されるが、その予想どおりに番組は進行している(*1)。
なお、この動画の目玉となる
- インドでのロープ・マジックの記録動画映像
については過去記事、
❏ ロープを空中に立たせて登る「ロープ魔術」の動画 ⇒ この謎を解く (途中 3) (2024-02-25)
で謎解きをした。今、あたりをつけて探したら、上の過去記事の謎解きが一目で理解できる「トリック用の紐」が amazon で販売されていた。それが下。
(*1)
概要
空中浮遊:科学、信仰、そしてトリック
複数の情報源から得られたテキストは、空中浮揚の概念をさまざまな角度から考察しています。
歴史的に、空中浮揚はインドの手品や聖人の奇跡と結びつけられ、しばしば超常現象として説明されてきました。しかし、厳密な調査によって、その多くがトリックや錯覚であることが暴かれています。現代の物理学者は、特定の条件下で物体を浮揚させることが可能であることを実験で示しており、これは振動と平衡の原理に基づいています。
一方で、人間が自力で空中浮揚するという主張は、物理法則に反するとして、懐疑的な見方がされています。結局のところ、空中浮揚は科学的な説明が可能な現象として、あるいは巧妙な手品として理解されるべきであり、超自然的な力によるものではないと結論付けられています。
目次
- 前置き
- 概要
- 詳細
- カルロス・ミラベリ(ブラジルの心霊術師)の空中浮揚写真
- ダニエル・ダグラス・ヒューム(ヴィクトリア朝の心霊術師)の空中浮揚
- TM 瞑想の空中浮揚
- 時系列
- 主要関係者
- 情報源
- 文字起こし
詳細
浮揚:科学、信仰、そしてトリックに関するブリーフィング資料
このブリーフィング資料は、「空中浮遊: 科学、信仰、そしてトリック」からの抜粋に基づき、浮揚という現象にまつわる主要なテーマ、重要なアイデア、および事実をまとめています。
I. 浮揚の概念と人類の夢
- 克服すべき重力: 浮揚は、過去100年間における人類の「重力との戦い」の最大の執着の一つでした。人類は既に空へ飛び立ち、宇宙へ進出し、地球の重力から完全に解放されることに成功しましたが、これらには膨大なエネルギーが必要でした。(0:01:37)
- 燃料を消費しない重力克服: 浮揚者の夢は、「莫大な量の燃料を燃やすことなく重力に打ち勝つ」方法を見つけることでした。(0:01:37)
- 古くからの魅惑: 空中を移動する能力、特に意志の力で困難な地形や広大な海を越える能力は、常に人々を魅了してきました。しかし、これはこれまで「科学というよりもファンタジーや魔法」に近いものとされてきました。(0:02:23)
- 未来への可能性: 21世紀には、宇宙旅行にロケットが必要なくなる可能性も示唆されており、「強力なエンジンは浮揚の力に取って代わられる」かもしれません。SFのファンタジーが科学的事実となる日も近いとされています。(0:01:02)
II. インドの浮揚術とロープトリックの謎
- インド発祥の伝説: 浮揚の物語は「東洋から、特にインドから」生まれることが最も多く、インドは「魔法の伝統的な故郷」とされています。(0:02:23)
- インドのロープトリック: インドの浮揚術の中でも、「インドのロープトリック」は最も有名になりました。(0:03:15)
- 歴史: ロープトリックは中世にまで遡ります。(0:03:15)
- 単純なバージョン: マジシャンがロープをバスケットから出して空中に立ち上がらせ、アシスタントの少年が登って消えるというものです。(0:04:13)
- 古典的な残忍なバージョン: 少年がロープを登って消え、マジシャンが呼び戻すものの少年は拒否。マジシャンが剣を手にロープを登り、血まみれの肢体が落ちてくる。その後、マジシャンが肢体をバスケットに入れ、少年が元通りになって飛び出すというものです。(0:04:13)
- 目撃証言の信頼性: 科学者でマジシャンでもあるリチャード・ワイズマンとピーター・ラモントは、古典的なバージョンを見た 者は誰もいないが、より単純なバージョンの目撃証言は「非常に信頼できる」と述べています。これらの証言は「インドに駐屯していたイギリス軍人、公務員、さらには貴族のメンバー」からもたらされており、目撃者が酔っていたり薬物の影響下にあったりしたとは考えにくいとされています。(0:04:38)
- 超常現象の可能性?: 1880年から1930年の間、多くの目撃証言がロープトリックが「自然な説明を拒否する」ことを示唆し、人々は「超自然的な何か」が起こっているのではないかと疑問を抱き始めました。懐疑的なイギリス人の中には、催眠術や燃えるヘンプの煙による薬物効果を疑う者もいました。(0:05:33)
- キャプテン・ホームズの写真: 20世紀初頭の議論の主要な触媒の一つは、1919年にキャプテン・ホームズがロープトリックを目撃し撮影したとされる写真でした。この写真は物議を醸し、彼の「輝かしい軍歴を持つ紳士」という地位がさらに注目を集めました。(0:06:40)
- マジック・サークルの懸賞: イギリスのマジック・サークルは、本物のロープトリックを披露できる者に500ギニーの賞金を提示しましたが、誰も名乗り出ませんでした。イギリスではカラチという人物が不完全なバージョンを披露しましたが、全く評価されませんでした。(0:07:21)
- フィルムの解明とトリック: イギリス兵が浮揚するロープを見ているフィルムは、後にトリックであることが判明しました。(0:08:48)
- 逆再生: ロープが空中に立ち上がる映像は、実際には「逆再生された映像」であり、ロープが落下する映像を反転させたものでした。(0:09:15)
- 隠されたポール: 少年がロープを登る場 面のフレームごとの分析により、少年が足を動かす際に「ロープの真後ろにポール」が隠されていることが明らかになりました。(0:10:11)
- 結論: このフィルムはロープトリックの信頼できる証拠ではなく、「単なるでっち上げ(ホークス)」であったと結論付けられました。(0:10:11)
III. 科学による浮揚の可能性
- 振動による浮揚: イリュージョンやトリックにもかかわらず、物理学者は最近、「実験室条件下では、重力に逆らうトリックを実行できる」ことを証明しました。マンチェスター大学のトム・マリンズは、柔軟なワイヤーを高速で上下に振動させることで、それを垂直に立たせる機械を開発しました。(0:10:51)
- 原理: このアイデアは、ロッドや振り子の実験から生まれました。振り子を非常に速く振動させると、「重力に逆らうかのように逆さまに立たせる」ことができるという数学的な理論に基づいており、これは純粋な物理現象です。(0:11:38)
- 応用: マリンズの装置は、複数のロッドを同時に垂直に保つことができます。これは、振動する機械が、ロッドが倒れる直前に少しだけ落下させることで、ロッドを垂直に保つという一種のジャグリングのようなものです。(0:13:04)
IV. 聖人とスピリチュアルな浮揚
- 歴史と文化における浮揚: 歴史上、浮揚能力は「聖人の確かなしるし」と見なされてきました。世界の他の文化でも、「空中に浮く能力を持っていた人々は、最も精神的に進歩している」と見なされていました。(0:14:57)
- 聖ヨゼフ・オブ・カペティーノ: 200人以上のキリスト教の聖人が空中に浮くことができたとされていますが、最も有名なのは「空飛ぶ修道士」と呼ばれた17世紀の聖ヨゼフ・オブ・カペティーノです。彼は記録されただけで100回以上の浮揚を経験し、美しいものを見ると自発的に浮揚したとされています。(0:15:41)
- 懐疑的な視点: 心霊研究家のジョー・ニッケルは、人間の浮揚の証拠に対して懐疑的です。彼は、聖ヨゼフ・オブ・カペティーノの行為は、非常に敏捷な人物が「数回の素早い跳躍で、祭壇やバルコニーに登る」ことだった可能性を指摘しています。(0:16:29)
- 現代の視点: 現代の観点から見ると、大いなる運動能力を持つアスリートがいるため、17世紀の人々を驚かせたような現象も、「もはやそれほど簡単に感動するものではない」とされています。(0:17:24)
V. マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーとヨーガの飛行
- TMとヨーガの飛行: 1960年代には、インドの聖者、特にマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーが浮揚への関心を再燃させました。彼は超越瞑想のコースを受けた者が「空を飛ぶことを学ぶ」ことができると主張し、彼のコースは一大ビジネスとなりました。(0:18:00)
- 量子物理学による説明: マハリシの信者たちは、ヨーガの飛行が神秘的なだけでなく、瞑想の物理的な効果であると主張しています。物理学者ジョン・ハゲリンは、量子物理学の法則によって「心が物質を制御できる」ため、浮揚が可能であると主張しています。彼は、ヨーガの飛行が「ニュートンの重力法則やアインシュタインの一般相対性理論に逆らう」ものであると述べています。(0:20:00)
- 重力への「支配」: 彼らは、浮揚は重力と戦うのではなく、「重力を支配すること」であり、空間と時間の湾曲を変えることで、重力が引っ張るのではなく押し上げるようになると考えています。(0:21:41)
- 「ホッピング」としての認識: しかし、ヨーガの飛行を目撃したすべての人々が、飛行者が重力から逃れていると信じているわけではありません。多くは「ホッピング」のように見えると指摘しています。信者たちは内的な経験は「飛んでいる」ものであり、ホップして滑る「素晴らしい感覚」だと主張しています。(0:22:26)
- マハリシ自身の飛行: マハリシ自身が本当に飛行できるのかという疑問に対し、インドの心霊研究家プレマナンドは、「もしマハリシがスピリチュアルな力で飛べるなら、なぜインド中を飛ぶのに6機のヘリコプターが必要なのか?」と疑問を呈しており、その答えは未だに得られていません。(0:23:36)
VI. 浮揚の物理的困難とトリックの解明
- 重力の法則との矛盾: 浮揚は「重力の法則を皮切りに、懐疑的であるべき多くの理由」があります。目に見える証拠にもかかわらず、「物理法則は物体や個人が浮揚することを非常に困難にしています」。(0:24:07)
- 浮揚の二つの方法と問題点:
- エネルギーによる上昇: 上向きに噴出するエネルギーがあれば可能ですが、ニュートンの第三法則により、必ず「同等かつ反対の反作用」が存在します。ロケットの噴射のように、上向きの力があれば下向きの力も生じます。しかし、ヨギが空中を浮遊する際に、そのような反作用は見られません。(0:25:38)
- 重力の排除: 重力を排除できれば可能ですが、そうすると地球の自転による遠心力の影響を受けます。もしマジシャンが本当に女性を浮かせたなら、彼女はすぐに追跡しなければならなくなり、「壁にぶつかったり天井に浮上したり」するでしょう。屋外であれば、地球から加速しながら離れていくでしょう。(0:26:50)
- 重力排除時の軌道: 重力を打ち消した場合、人は空中に留まるのではなく、地球の自転の方向へ、地表から接線方向に直線的に離れていくことになります。そして、「重力が最も上り坂になる場所」、つまり宇宙で最も質量が少ない場所へ向かっていくでしょう。(0:27:31)
- インドのヨギのトリック: 長年ヨギの秘密を探求してきたインドの心霊研究家プレマナンドは、空中浮揚の秘術が「精神的な高揚の結果ではない」ことを発見しました。デモンストレーションを行うヨギのローブの下には、「頑丈な鉄の棒」が隠されており、それがヨギの全体重を支え、地面に固定されていました。これは何百年も使われてきたトリックです。(0:29:04)
VII. 西洋の心霊術師による浮揚と写真のトリック
- カルロス・ミラベリ: 20世紀の有名な心霊術師、ブラジルのカルロス・ミラベリは、彼の浮揚によって多くの人々に超常的な力を信じさせました。(0:30:01)
- ダニエル・ダグラス・ヒューム: ヴィクトリア朝時代のアメリカ生まれの心霊術師ダニエル・ダグラス・ヒュームは、「決して暴かれることのなかった心霊術師」として知られ、米国からロシアに至る上流社会にその才能を信じさせました。(0:30:37)
- 1868年12月の事件: 1868年12月のある夜、ヒュームは友人のアデア卿らを巻き込んだ交霊会で不可解な浮揚を披露しました。アデア卿の証言によると、ヒュームは「体が伸びて空中に持ち上がり」、その後隣室の窓から別の窓へ現れたとされています。(0:31:08)
- 目撃者の信頼性: アデア卿とその友人たちは高い社会的地位にあったため、彼らの証言は広く疑問視されることなく受け入れ られました。(0:33:14)
- 謎: ヒュームがどのように部屋から部屋へ移動したのかは不明ですが、ロープを張った可能性も示唆されています。(0:32:28)
- 写真の改ざん: カルロス・ミラベリの浮揚写真は、「ネガが改ざんされており、ミラベリが立っていた脚立が巧妙に消されている」ことが明らかになりました。(0:33:57)
まとめ
浮揚は、古くから人類の想像力を掻き立ててきた夢であり、科学、信仰、そしてトリックが複雑に絡み合ってきました。歴史を通じて多くの目撃証言や物語が語られてきましたが、その多くはイリュージョンやトリック、あるいは目撃者の誤解によるものでした。物理学の法則は、人間が特別な装置なしに重力に逆らって浮揚することを極めて困難にしていることを示しています。しかし、科学技術の進歩により、振動を用いた浮揚など、特定の条件下での浮揚現象は既に実現されています。それでもなお、精神的な力による人間の浮揚の可能性は議論の的であり、その真偽は未だ完全に解明されていない、あるいは否定されているのが現状です。