AI 整理 : Yuval Noah Harari のインタビュー
前置き
過去記事、
歴史学者 Yuval Noah Harari の凄まじかった洞察力 (追加) (2024-10-15)
で取り上げたインタビュー動画を AI で整理した。
なお、この記事は 本日の別記事 の露払い役として取り上げる。
概要
ホモ・デウス:人類とテクノロジーの未来
この文章は、ユヴァル・ハラリ氏の著書「ホモ・デウス」について、ポール・ケネディ氏とのインタビューをまとめたものです。**ハラリ氏は、人類が飢餓、疫病、戦争といった長年の課題を克服しつつあり、次の目標として不死 、幸福、そして神性を追求する可能性を提示します。
** 彼は、21世紀にはバイオテクノロジーとアルゴリズムの発展により、人類が自らの身体や脳を「再設計」し、経済的不平等が生物学的な不平等へと転化するかもしれないという、驚くべき未来像を描いています。また、「データ主義」という新しいイデオロギーの台頭により、権威が人間からデータクラウド上のアルゴリズムへと移行する可能性も論じられており、人間がアルゴリズムに操られるといった倫理的・哲学的な問題提起がなされています。最終的に、ハラリ氏はこれらの技術的進歩が決定論的ではないとし、人類が自らの未来の方向性を選択できると強調しています。
目次
音声対話
詳細
要約:ユヴァル・ノア・ハラリ氏の「ホモ・デウス」における主要テーマと重要な考察
このブリーフィング文書は、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書「ホモ・デウス:人類とテクノロジーの未来」に関するインタビューに基づいています。ハラリ氏は、人類の過去の主要な課題である飢饉、疫病、戦争が、かつてないほど制御下に置かれつつあると主張し、その上で人類の次の目標が不死、幸福、そして神性へと移行すると予測しています。
- 飢饉、疫病、戦争の終焉と新たな目標 ハラリ氏は、歴史上初めて、飢饉、疫病、戦争による死亡者数が大幅に減少していると指摘します。
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飢饉: 「今日、歴史上初めて、少食で亡くなる人よりも、食べ過ぎで亡くなる人の方が多くなっています。」飢饉はもはや「自然の飢饉」ではなく、「政治的な飢饉」であり、食糧不足ではなく政治的意図によって引き起こされると述べています。
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疫病: 伝染病による子供の死亡率は史上最低レベルにまで低下しており、エボラ出血熱のような新たな流行病も「約3ヶ月以内に制御下に置くことができました。」これは過去の黒死病のような壊滅的なパンデミックとは全く異なる状況だと説明します。
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戦争: 「今日、世界のどこでも、人間による暴力による死亡率は約1%か、少し多い程度です。」カナダのような国では、テロよりもファストフードを食べすぎることによる死亡リスクの方がはるかに高いと具体例を挙げます。かつて戦争の「一時的な不在」を意味した平和は、現在では「戦争の非現実性」を意味すると強調しています。
これらの課題が克服されつつあることで、人類は新たな目標、すなわち不死、幸福、神性を追求し始めるとハラリ氏は予測しています。
- 不死の追求と生物学的不平等の可能性
「人類の次の目標は、おそらく不死、幸福、そして神性になるでしょう。」
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死の技術的問題化: ハラリ氏は、死を「神が定めた形而上学的な布告」ではなく、「技術的な問題」と捉え、「あらゆる技術的問題には、少なくとも原理的には技術的な解決策がある」と述べています。
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延長された人生: シリコンバレーでは「不死」が最も注目される言葉の一つであり、Googleのような企業も死の克服を目指しています。これは「100万歳まで生きる一 回限りの薬」ではなく、「健康な状態でさらに10年間生きる」という、繰り返し可能な契約としての寿命延長として捉えられています。
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生物学的不平等の到来: この技術が広く普及した場合、「生物工学は、歴史上初めて、経済的不平等を生物学的不平等に変換するでしょう。」これまでの不平等が社会的、経済的、政治的なものであったのに対し、将来は「金持ちは貧しい人々に本当に優位な身体的、精神的能力を享受する」ことで、人類が「異なる生物学的階級に分裂する」可能性があると警告しています。これは「恐ろしい新世界」であり、元のソースでは「ディケンズの英国とマハディのスーダンの間の隔たりよりもはるかに大きい」と表現されています。
- 人類の神格化と非有機生命体の創造
人類は「ホモ・サピエンスをホモ・デウスにアップグレードすることを目指すでしょう。」
- 神性の獲得: 「人間は21世紀に自分自身を神にアップグレードしようとするだろうが、これは比喩ではない。文字通りそう言っているのだ。」創造し、生命を設計する能力が神の定義であるならば、人類は遺伝子工学を通じてこの能力を獲得しつつあります。
- 経済の主要製品の変化: 21世紀の経済の主要製品は「繊維や自動車や兵器ではなく、身体や脳や精神になるだろう」と予測しています。
- 非有機生命体の創造: 人類は40億年の進化を経て、「最初の非有機人工知能実体を創造する」過程にあり、これは「伝統的な神々」をも超える存在となる可能性を示唆しています。ハラリ氏は、人類が「神々を創造する神々」になる可能性すらあると述べています 。
- 人間中心主義の終焉とアルゴリズムの台頭
- 意識と知性の分離: ハラリ氏は、人工知能(AI)がますます多くのタスクで人間を凌駕し、「膨大な数の無用な階級」を生み出す可能性があると述べています。さらに危険なのは、「知性が意識から切り離される」ことだと指摘します。知性は「問題を解決する能力」であり、意識は「物事を感じる能力、主観的な経験を持つ能力」です。コンピュータは驚異的な知性を持っているにもかかわらず、「コンピュータの意識には全く進歩がない」と強調しています。
- 意識の市場価値の欠如: 「市場の観点から見ると、意識には全く価値がない。」タクシー運転手の例を挙げ、市場が求めるのは知性であり、意識は「パッケージとして付いてきたもの」に過ぎないと考えています。自動運転車は人間よりも安全で効率的であり、意識は必要とされません。
- アルゴリズムによる意思決定: 将来、人間がアルゴリズムに職を奪われるだけでなく、権威もアルゴリズムへと移行すると予測しています。「外部のアルゴリズムが、私自身が自分を理解するよりも良く私を理解する」ようになることで、意思決定の権限は人間から「Googleクラウド、Microsoftクラウド」のようなアルゴリズムへと移るとしています。
- 哲学的な問題の実用化: 自動運転車の倫理的ジレンマ(5人を救うために運転手を犠牲にするか)の例を挙げ、これまで哲学者が議論してきた問題が、アルゴリズムのプログラミングを通じて「日常生活における実践的な問題」になると指摘しています。
- データ教(Dataism)の台頭
- 新 たなイデオロギー: 21世紀の大きな問題(バイオテクノロジーによる赤ちゃんの設計、AIによる失業、生物学的階級への分裂など)には、聖書やコーランには答えがなく、「新しいイデオロギー、新しい宗教」が必要になるとハラリ氏は主張します。
- データ崇拝: その中で最も重要なのが「データ教(Dataism)」であり、これは「神や人間ではなく、データを崇拝する宗教やイデオロギー」です。データ教は、「十分な生体データと十分な計算能力があれば、外部のアルゴリズムが私自身が自分を理解するよりも良く私を理解できる」と信じます。
- 経験のデータ化: データ教徒は「経験は共有されなければ価値がない」と信じ、「私たち自身の中に意味を見出す必要はなく、ただ私たちの経験を巨大なデータフローに記録し接続すれば、アルゴリズムがその意味を発見し、私たちに何をすべきかを教えてくれるだろう」と考えます。Kindleの読書データと生体センサーを組み合わせることで、Amazonが読者の感情を完全に理解し、行動を予測できるようになるという例を挙げています。
- 自己認識の重要性
ハラリ氏は、未来の課題に対抗するために「自分自身をよりよく知る」ことの重要性を強調しています。「アルゴリズムと競争したいなら、アルゴリズムがあなたを知る以上にあなたがあなた自身を知っているかどうかが問われる。」これは「自分を知る」という古くからの助言が、かつてないほど重要になることを意味します。
- 決定論ではない未来と行動の呼びかけ ハラリ氏は、本書で描かれた未来像が「予言」ではなく「可能性」であると繰り返し強調し ます。
- 「ホモ・デウスが記述しているすべてのことは予言ではない。単に異なる可能性をマッピングしているだけだ。」
- 「テクノロジーは決定論的ではない」とし、同じ技術でも異なる社会システムを生み出すことができると述べています。
- もし望ましくない未来があるのであれば、「まだ何かできることがある」と述べ、市場原理に任せるのではなく、「政治的な選択」によって発展を異なる方向へ導くことができると示唆し、これは「行動への呼びかけ」であると述べています。
- 人間とは何か?意識と自由意志の再考
- 人間はアルゴリズム: ハラリ氏は、「有機体はアルゴリズムである」という生物学研究の結論を提示し、人間も「生化学的反応と体内での計算によってアルゴリズム的に意思決定する」と説明します。感情は「生化学的計算」の結果であり、バブーンの例を使って、危険回避や食料獲得のための確率計算として感情が機能すると説明しています。
- 「自己」の幻想: 「単一の真の自己は、永遠のキリスト教の魂やサンタクロース、イースターバニーと同じくらい現実的だ。」と述べ、自己は「フィクションの物語」であり、その物語に人々はしがみついていると指摘します。
- 意識の未解明: 科学は、脳がどのように意識を生み出すのかをまだ説明できていないことを認めています。「何十億ものニューロンが互いに電気信号を発射するとき、どのようにして愛や憎しみ、痛みや喜びといった主観的な経験が生まれるのか、全くわからない。」と述べていますが、これは過去の神話的な説明に戻る理由にはならないとし、意識に関する研究への投資をさらに増やすべきだと主張しています。
ハラリ氏は、人類が「ホモ・サピエンス」という名の駅を出発する「最後の列車」に乗るのか、それとも取り残されるのか、その分岐点に立っていると結論付けています。この列車に乗るためには、バイオテクノロジーとコンピュータアルゴリズムの力を理解し、それによってもたらされる「創造と破壊の神聖な能力」を獲得する必要があります。取り残された者は「絶滅に直面する」という厳しい選択を提示しています。
時系列
このタイムラインは、ユヴァル・ハラリ氏の著書『ホモ・デウス』で語られる、過去から未来への人類の発展と課題についての見解をまとめたものです。
過去 - ホモ・サピエンスの時代
数千年前から現代まで:
- 人類にとっての最大の脅威は飢餓、疫病、戦争であった。特に飢餓は数千年にわたり最大の脅威であり、疫病(黒死病など)は人口の1/4から1/3を奪った。暴力による死亡は全死亡の約10%を占めた。
- この時代、「平和」は一時的な戦争の不在を意味した。
- 人々は「宇宙のドラマ」の一部として生き、自身の役割は神によって決定されるものと信じていた。これにより、彼らの人生には意味が与えられたが、変革の力はほとんどなかった。
- 伝統的な社会や宗教では、人間の意思決定は魂や霊といった精神的な本質によるものと信じられていた。
- バビロニア人は農業生産の向上を神に期待し、雨や豊穣、害虫からの保護を求めた。