John Greenewald, Jr. : WSJ の UFO 記事を強 く批判
前置き
John Greenewald, Jr. が WSJ の UFO 記事(有料)を強く批判している。
関連
この WSJ の有料記事については下の過去記事でも扱った。
Richard Dolan の批判 : WSJ が UFO 情報撹乱工作を仕掛けてきた (2025-06-17)
情報源 : Youtube 動画(1:26:30)
The Wall Street Journal Covers UAP - My Take
ウォール・ストリート・ジャーナルUFO記事の検証
このソースは、ジョン・グリーンウォルド・ジュニア氏によるYouTubeポッドキャストの文字起こしで、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のUAP(未確認航空現象)に関する記事を検証しています。
彼は、ジャーナリズムにおける情報の省略と、それがどのように誤解を招くかについて論じています。グリーンウォルド氏は、自身の広範な情報提供が記事に反映されなかったことに対する不満を表明し、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が特定の政府のディスインフォメーションの物語に焦点を当て、UAPに関する分類された文書の豊富な歴史を無視したと主張しています。
彼は、根拠のない主張を盲目的に信じることに対する批判を展開し、完全な証拠に基づく分析の必要性を強調しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルUFO記事の検証:
主要テーマと重要な事実の要約
ジ ョン・グリーンウォルド・ジュニアによるこのYouTubeポッドキャストは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のUAP(未確認航空現象)に関する2部構成の記事を検証し、その主要なテーマ、主張、そしてグリーンウォルド氏がWSJに提供した情報がなぜ記事に採用されなかったのかについて深く掘り下げています。グリーンウォルド氏は、WSJの記事がUAP現象に関する誤報と情報の限定的な側面を強調しすぎていると批判しています。
- WSJ記事の主題とグリーンウォルド氏の主な批判点
WSJの記事は、UAP現象の多くが政府の極秘技術の隠蔽や、意図的な誤情報・偽情報キャンペーンの結果であるという見解を提示しています。特に、エリア51周辺でのUFO神話の拡散が、政府によるトップシークレット技術の隠蔽目的で行われたという「空軍大佐がバーでUFO写真を仕掛けた」という噂を取り上げています。
グリーンウォルド氏の主要な批判は以下の通りです。
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証拠の欠如と限定的な視点: WSJの記事は「誤情報と偽情報、この話題には何も関係ない」という印象を与えていますが、その主張を裏付ける具体的な情報源や証拠に欠けています。記事は特定の個人からの証言に依存しており、「信頼できる兄弟」の物語と同じレベルで、証拠がないとグリーンウォルド氏は指摘します。
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重要な情報の省略: グリーンウォルド氏は、自身がWSJに提供した数時間にもわたるインタビューと膨大な文書(FOIAを通じて入手した数千ページの政府文書を含む)が、記事に一切使用されなかったことを強く批判しています。これらの文書は、UFO/UAPが依然として高度に機密化されており、長年にわたって世界中で遭遇が記録されていることを示しています。もしこれが単に政府のトップシークレット技術であれば、多くの情報が半世紀以上も機密化されたまま存在し続けることは考えにくいと主張しています。
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軍事技術との区別: B-2ステルス爆撃機やF-117ステルス戦闘機のようなかつて極秘だった軍事技術でさえ、数十年後には一般に公開され、航空ショーなどで見られるようになっているにもかかわらず、UAP関連文書が今なお高度に機密化されていることは、それが既知の軍事技術ではない可能性を示唆していると述べています。
- WSJ記事が取り上げた具体的なテーマとグリーンウォルド氏の反論 WSJ記事が焦点を当てたいくつかの具体的なテーマに対し、グリーンウォルド氏は反論を提示しています。
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「ヤンキー・ブルー」ハラスメントの儀式: WSJは、ペンタゴンが2023年に「ヤンキー・ブルー」と呼ばれるハラスメントの儀式を発見し、これにより人々がエイリアン技術に関わる極秘プログラムに参加していると誤解させられたと報じました。しかし、グリーンウォルド氏がAFOSI(空軍特別捜査局)に提出したFOIA請求では、2021年以降に「ヤンキー・ブルー」に関連する調査の記録は一切見つかりませんでした。
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ロバート・サラス氏の証言とEMPテスト: WSJは、ロバート・サラス氏が主張する1967年のミサイルシャットダウン事件について、EMP(電磁パルス)テストが原因である可能性を示唆する文書のスクリーンショットを掲載しました。しかし、WSJは関連する文書全体を公開せず、グリーンウォルド氏は、この文書がサラス氏の体験全体を否定するものではないと指摘しました。また、サラス氏の事例以外にも、核施設や軍事基地へのUFOの侵入が多数報告されており、これらもWSJの記事では無視されていると批判しています。
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ルイ・エリゾンド氏と「To the Stars Academy」: WSJの記事のパート2は、ルイ・エリゾンド氏と「To the Stars Academy of Arts and Science」に焦点を当てていましたが、グリーンウォルド氏はこれを「昔のニュースの焼き直し」と評しました。
- 省略された重要な情報源と文書
グリーンウォルド氏は、WSJに提供したにもかかわらず記事で省略された重要な情報源や文書をいくつか挙げています。
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CIAのUFO関連文書: 政府がUFO調査を終了したと主張した後も、CIAがUFO/UAP問題を監視し続けていたことを示す文書。
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UAPタスクフォースによるNASAへのブリーフィング資料: UAPがいかに高度に機密化されているかを示すもので、一部が黒塗りされており、全てのUAPの選択肢すら開示されていない。
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UAP関連の写真・動画の機密扱い: ロシアのジェット機による無人機への燃料噴射の映像が速やかに公開される一方で、UAP関連の全ての画像は100%機密扱いされている現状。政府は「能力」の開示を理由にしていますが、グリーンウォルド氏はこれを「馬鹿げている」と一蹴しています。
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UAPセキュリティ分類ガイド: UAP情報の機密性を定義する文書で、これがUAPが単なる既知の軍事技術ではないことを示唆していると主張。
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国家安全保障局(NSA)および国防情報局(DIA)のUFO関連ファイルの紛失: これらの機関が多数のUFO関連ファイルを「謎の紛失」としており 、これは情報隠蔽の可能性を示唆しています。
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OSAPプログラムに関する誤解: DIAのOSAP(高度航空宇宙脅威識別プログラム)の真のミッションと、それが「スキンウォーカー牧場でのダイナビーバー狩り」のような逸話と混同されていることへの批判。グリーンウォルド氏は、これによりUAP研究全体の信頼性が損なわれていると懸念しています。
- メディアと一般への提言
グリーンウォルド氏は、WSJのような大手メディアの「マストヘッド」が、記事の真実性や完全性を保証するものではないと強調しています。彼は読者に対し、記事を鵜呑みにせず、自身で情報を検証し、複数の情報源を検討するよう促しています。また、懐疑論者も建設的な対話に参加すべきであると認めつつ、WSJの記事を盲目的に拡散する態度は「思考の浅はかさ」を示していると批判しています。
- その他の言及
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ティム・バーチェット上院議員の主張: バーチェット議員が「エイリアンが水中に基地を持っている」と発言したことについて、グリーンウォルド氏は彼を「誠実な人物」と評価しつつも、信頼できない情報源に惑わされている可能性を示唆しています。
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ジェイク・バーバー氏の主張と新しいUFO組織: バーバー氏のUAP映像(卵型)が「妙に感じる」と述べ、また、彼の経験から新たなUFO研究組織が設立される傾向に疑問を呈しています。彼は「これ以上UFO調査組織は必要ない、必要なのは証拠だ」と述べています。
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UAP召喚の主張: UAPを「召喚」できると主張する人々に対し、もし本当に人類を変える情報を持っているなら、それ を共有すべきであり、個人的な利益のために料金を請求すべきではないと批判しています。
全体として、グリーンウォルド氏のブリーフィングは、UAP現象の報道におけるジャーナリズムの責任、情報の透明性、そして既存の政府文書が示す複雑な現実を無視することへの強い懸念を表明しています。彼は、WSJの記事がUAPに関する広範な証拠の全体像を捉え損ねており、誤解を招くような、限定的な物語を提示していると主張しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルUFO記事の検証 - タイムライン
1950年代:
- 政府によるUFOの誤報・偽情報流布の噂が始まる。
- CIAがUFO目撃をU-2偵察機の飛行と関連付けようとするが、U-2は1950年代半ばまで飛行しておらず、主要な目撃事件とは結びつかない。
1960年代:
- Malmstrom空軍基地などで、核施設へのUFO(未確認ヘリコプターと後に呼ばれることもあった)の侵入が複数報告される。
1967年:
- Robert Salasが、UFO目撃と関連してミサイル発射施設がシャットダウンされた経験を語る(後に内容に一部変更が見られる)。
1969年:
- 政府のUFO調査プロジェクト「Project Blue Book」が終了する。
1970年代以降:
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国防情報局(DIA)や国家安全保障局(NSA)など、様々な政府機関がUFO/UAPに関する高度に機密化された情報を収集し続ける。これらの記録は2000年代まで続く。
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Project Blue Book終了後も、CIAがUFO/UAP問題に引き続き関心を持ち、追跡していたことが内部文書で示唆される。
1980年代:
- Wall Street Journalの記事で、空軍大佐がエリア51近くのバーでUFO写真を仕込み、UFO神話を広めたという噂が取り上 げられる。
約30年前(John Greenewald, Jr.の活動開始):
- John Greenewald, Jr.がUFO/UAPの調査を開始する。
数年前(John Greenewald, Jr.の調査):
- John Greenewald, Jr.が、今日の機密保持の根源となる「セキュリティ分類ガイド(Security Classification Guide)」を初めて公開する。
2000年代初頭から中頃:
- ドットコムブームの中で、多くのUFO関連ウェブサイトや組織が立ち上がり、新しい証拠を謳うが、多くは短命に終わる。
2021年:
- John Greenewald, Jr.がAFOSI(空軍特殊捜査局)に対し、Wall Street Journalの記事で報じられた「Yankee Blue」ハラスメント儀式に関する調査記録を要求するFOIA申請を提出(2021年以降の期間を対象)。
2023年:
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Wall Street Journalの記事で、AAROが「Yankee Blue」と呼ばれるハラスメント儀式を発見し、ペンタゴンがこれに関するメモを発行したと報じられる。
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国家情報長官(DNI)のAvril Hainesがこの件についてブリーフィングを受け、「啓示に愕然とした」と報じられる。
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John Greenewald, Jr.がAFOSIからのFOIA応答で、「Yankee Blue」に関する記録が一切見つからなかったことを知る。
今年(配信時)1月:
- John Greenewald, Jr.がWall Street Journalの記者からUAPの開示に関する最近の動きについての記事でインタビューを受ける。
数ヶ月間(今年1月以降):
- John Greenewald, Jr.はWall Street Journalの記者と数時間にわたる複数回の会話を行い、FOIAで得た大量の政府文書を提供する。
配信時:
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Wall Street JournalがUAPに関する2部構成の記事を公開。Greenewaldは自身の提供した情報が記事にほとんど含まれていなかったことに不満を表明。
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ペンタゴンの2024年報告書(AARO Volume 1)が政府のUFO神話拡散への役割を省略したとWall Street Journalが報じる。AARO Volume 2は公開が大幅に遅れている。
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John Greenewald, Jr.がライブ配信を行い、Wall Street Journalの記事を検証し、批判する。彼は特に、記事が誤報・偽情報と機密技術を強調し、広範な歴史的証拠や政府の機密文書を無視している点を指摘。
登場人物
John Greenewald, Jr. (ジョン・グリーネワルド・ジュニア):
- UFO/UAP調査の分野で30年近く活動している研究者。
- 「The Black Vault」というウェブサイトを運営し、情報公開法(FOIA )を通じて政府文書を入手・公開している。
- Wall Street JournalのUAP記事の取材を数時間にわたり受けたが、自身の提供した情報がほとんど使用されなかったことに不満を抱いている。
- Wall Street Journalの記事の偏りや証拠の欠如を厳しく批判している。
- 著作活動も行っている。
Robert Salas (ロバート・サラス):
- 1967年にミサイル発射施設でUFO目撃に関連したミサイルシャットダウンを経験したと主張する人物。
- 彼の証言は長年にわたり物議を醸しており、内容に一部変更が見られると指摘されている。
- Wall Street Journalの記事では、彼の証言がEMP(電磁パルス)試験と関連付けられ、その信憑性が疑問視された。
Ryan Graves (ライアン・グレイブス):
- Wall Street JournalのUAP記事の取材を受けた人物の一人として言及されているが、具体的な内容は触れられていない。