Richard Lang : Douglas E. Harding の『頭がない私』の続き (書式変換+文字起こし+和訳)
はじめに
妙な経緯でタイトルの件に遭遇した。
Richard Lang (MUFON の STAR team のリーダー)の講演動画を見終え、彼の名前で検索したら下の動画がヒット。同姓同名の別人のインタビュー動画だったが、そこで語られている話が AI 関連の本に収録された話(『頭がない私』:下)に妙に似ていた。
ref: ダグラス・R. ホフスタッター、『マインズ・アイ―コンピュータ時代の「心」と「私」〈上〉』、1992-10、TBSブリタニカ、32頁
チェックすると、確かにこの『頭がない私』の著者の開発した技法(というか禅めかした風変わりな哲学?)の話題だった。
履歴
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(2025-01-22) 書式変換+文字起こし+和訳
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(2019-04-07) 追加。Douglas E. Harding が自分の頭を指さ しているシーンを追加。 Douglas E. Harding の『頭がない私』の続き (途中:その4) (2019-04-07)
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(2019-04-06) 追加。「頭がない私」というタワゴトを粉砕する「たった一言+一つの仕草」を追加。
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(2019-03-25) 追加。
- ヒマラヤでの体験は事実ではなく、印象操作のための演出だった…という話を追加。
- タイトルに含まれる名前を修正(Donald (Douglas) E. Harding → Douglas E. Harding )。
- ついでに Douglas Harding の「啓示」が全くのタワゴトであることを解説(途中)。
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(2019-03-09) 作成
抜粋
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動画(1:58:55)
Richard Lang - Buddha at the Gas Pump Interview
www.youtube.com/watch?v=PAckqzUSPiw
関連
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コメント
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(2019-03-09 end)
(2019-03-25 begin)
抜粋
13:30
Douglas E. Harding が本や講演で述べている、彼のヒマラヤでの(私には頭がない…という)啓示体験は実際の出来事ではなく、いわば印象操作の演出だった。
実際は、そのもっと前に Ernst Mach の本に描かれた絵(*1)を見たときにこの啓示体験をしていた。
動画(1:58:55)
・Richard Lang - Buddha at the Gas Pump Interview
www.youtube.com/watch?v=PAckqzUSPiw
(*1)
下の絵のこと。
https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%8F_%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%8F%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81
参考
Douglas Harding の啓示体験については下の日本語記事が詳しい。
The Headless Way―頭がない方法 ダグラス・ハーディングが開発した自己探求の方法 - http://www.ne.jp/asahi/headless/joy/99_blank.html
頭がない方法 ダグラス・ハーディングが開発した自己探求の方法 -
http://www.headless.org/japanese/welcome-%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%9D.htmコメント
・Douglas Harding の啓示体験と、それにもとづいた「頭がない私」という主張には Douglas R. Hofstadter(*2) もまんまと誑かされ、Hofstadter の本(『マインズ・アイ』)にも掲載された。
・Douglas Harding の啓示体験の核心部分が下図だが、彼の「啓示」は実は全くのタワゴト。人は彼の主張のトリックにまんまと操られ、ここには深い真理が含まれているのかも知れない…と錯覚させられ、誑かされている(*3)。
・Douglas Harding の「啓示」と主張の どこが どのように タワゴトなのか? それを面倒な理屈抜きに、「たった一言+一つの仕草」だけで誰にでも一発で納得させることができる。
・たった一言だけでも十分だが、Douglas Harding はすぐ上の図のような仕草による解説がお好みだから私もそれに付き合って仕草のおまけを付きバージョンにしておくw
・その「たった一言+一つの仕草」とは… (後述)
(*2)
Dennett (『マインズ・アイ』の共編者)がまんまと騙されるのは さもありなん だが、Douglas R. Hofstadter まで騙されるとはねぇ。
Douglas R. Hofstadter については下の過去記事を参照。
Douglas Hofstadter が『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を書きだした経緯 (2013-11-22)
ゼノンのパラドックスは「無限級数の収束」では解決しない (2014-05-18)
Douglas R. Hofstadter : Ray Kurzweil の Singularity 説を肯定的に評価 (2014-05-15)
(*3)
我々のような凡人が
- これには深淵な真理が含まれているようだ。微かだが、その真理の確たる手応えを私も魂の深みで感知できている
…などと思うような「真理」は大概、タワゴトでしかない。そもそも我々凡人と「深淵な真理」の間には接点がない。
名前の修正
タイトルに含まれる名前を修正した。
Donald (Douglas) E. Harding → Douglas E. Harding
Web で調査すると Douglas E. Harding なのは明らかだが、過去記事では
Donald (Douglas) E. Harding の『頭がない私』の続き (途中:その1) (2019-03-09)
というように Donald (Douglas) E. Harding と名前を記載していた。一番上の引用画像にあるように、日本語訳の
ダグラス・R. ホフスタッター、『マインズ・アイ―コンピュータ時代の「心」と「私」〈上〉』、1992-10、TBSブリタニカ、32頁
に Donald E. Harding と記載されていたので、日本語訳の顔を立てて Donald を優先させ、Douglas をかっこで補足していた。
だが、原書をチェックしたら下のように "D. E. Harding" となっていた。どうやら日本語訳が名前を誤記したようだ。
出典:
(2019-03-25)
(以下、2019-04-06 追加分)
「頭がない私」というタワゴトを粉砕する「たった一言+一つの仕草」
Douglas E. Harding の「頭がない私」がタワゴトであることは、面倒な理屈抜きで「たった一言+一つの仕草」だけで誰にで も一発で納得させることができる。ざっとこんな感じ。
- (1) D. E. Harding が講演で下の図のような仕草をして「私の頭は無い」と語っているとする。実際、彼は講演でそれを十八番にして解説している(*4)。

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(2) 私は D. E. Harding の眼の前に進み出て、彼の手首を掴んでグイと押しやる。(当然、彼の人差し指は彼の鼻の下あたりに突き当たる。)
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(3) そして、私は D. E. Harding に尋ねる。「これは何かね?(あなたの指が触れているのは何だ?)」

本当は彼の腕を掴んで押しやるより、「寝言をほざいてんじゃないよ」と言って彼のおでこにデコピンを一発かましたいところ。だが、それでは彼は屁理屈の言い逃れ(自他の観点の相違があーだこーだ…の類)を試みる筈。なので、そういった屁理屈を完全に封じるために彼自身の指が彼の顔(頭)に突き当たる場面を観衆に見せつける。
おまけ: 中論や般若心経で説く空も同型のタワゴト
このように D.E. Harding の主張は全くのタワゴトでしかないのは明白な筈だが、実際に大勢の人々が 誑かされ「あるいは深い真理が含まれているのかも…」と惑わされている。
実はこれと同様の手口が宗教業界では十八番となっている。仏教で言えば龍樹(ナーガルジュナ)の中論や色即是空で有名な般若心経がその典型例。中論や般若心経で説く空の中核は D. E. Harding の「頭がない私」と同型のトリックとなっている。
中論や般若心経は D. E. Harding のそれより手口が巧妙化しているために、錚々たる知識人を含めた大半の人間がコロリと騙されている。仏教学者の中にも般若心経はタワゴトだと指摘した人物はごく少数ながら存在するが、そういった人たちですら中論がタワゴトだとは見抜けていない(or 勘付いてはいるがそれを認めるのに躊躇している。万一それを認めれば彼の信じる流派――唯識 or 中観 or … ――を含む大乗仏教全体の土台が崩壊する。ゆえに怖気づく)。
(2019-04-07 begin)
(*4)
実際に D. E. Harding が講演で自分の頭を指さして解説しているシーンをいくつか列挙しておく。字幕からもわかるようにロシア語圏やフランス語圏、スペイン語圏などでも彼の主張に誑かされた人々が大勢いるようだ。イギリスの著名な作家も彼の説をすっかり信じ込んでいたという。
D. E. Harding が講演で自分の頭を指さしている時、実は鼻の先や瞼の縁が見えている筈だが、彼はそれに言及しようとない。
D. E. Harding が「 Ernst Mach の本に描かれた絵(*1)を見たときにこの啓示体験をしていた」のであれば、Mach の絵に鼻の先や瞼の縁が描かれていることに気づかない筈はない。
つまり、D. E. Harding が得意とする仕草ですら、最初から論旨が破綻している。
26:30
実演動画(32:39)
Look Who's Here Pt 1 A
2:29
動画(6:15)