Anthony Peake の予知仮説の抱える矛盾 (途中 1)
前置き
先日の
Anthony Peake の予知に関する仮説がダメな理由(途中3)
に関連して、ひとつの矛盾点に絞って掘り下げる。
別の矛盾点
まず、Anthony Peake の予知に関する仮説とは以下のようなもの。
Anthony Peake の予知に関する仮説
この二つの予知の事例から彼は次のような仮説を提唱している。
-
人間は死んだ後、時間を遡って同じ人生を何度も何度も繰り返している。それはあたかも映画の "Groundhog Day" (邦題『恋はデジャ・ブ』)のようなもの。
-
一つ前の人生で彼は交通事故で死んでいた。そして死後に時間を遡って全く同じ人生を辿ってきた。そして前回の人生の最後に聞いた曲が MP3 プレーヤーで再生された瞬間に「彼の人生を見守っている存在(Daemon, Guardian angel : 守護者、守護神)」が警告を発して危うく、交通事故を回避させた。
-
このように失敗した人生がうまく成功するまで、人は何度も同じ人生を時間を遡って繰り返す。あたかもコンピュータ・ゲーム(シューティングゲーム)の中の主人公のように、殺されてゲームオーバーになるたびに、リセットして同じゲームを最初からやり直すようなもの。
-
見事、ゲームクリアすると、これまでの人生のステージを終え、別のステージに進む。これが彼の輪廻仮説。
-
Deja Vu(既視感)は前回の人生の記憶の一部が(どうやってか)浮かび出たもの。
ref: Anthony Peake : 独自の輪廻説に基づいて予知の仕組みを語る(途中:その4) (2014-08-09)
矛盾点
彼の仮説にあるゲーム・クリア的状況は生じえない。
Anthony Peake は、
このように失敗した人生がうまく成功するまで、人は何度も同じ人生を時間を遡って繰り返す。あたかもコンピュータ・ゲーム(シューティングゲーム)の中の主人公のように、殺されてゲームオーバーになるたびに、リセットして同じゲームを最初からやり直すようなもの。
見事、ゲームクリアすると、これまでの人生のステージを終え、別のステージに進む。これが彼の輪廻仮説。
と述べるが、それは早合点でしかない。なぜなら、
-
一旦、ある人物(A)が人生において成功なり危機回避したとしても、
-
A の周囲の関係者の誰かも同様に、成功するまでゲームを繰り返しているから、A のゲーム・クリアはその関係者によってリセットされてしまう。
-
全ての関係者が同時にゲーム・クリアされる可能性はほぼゼロ。なぜなら、それらの関係者にも複数の関係者がおり、その関係者のネットワークは結果的には全国民や主要国の国民を巻き込むことになるゆえ。
独我論を採用すると矛盾は回避できるか?
では、
- A の周囲の関係者の誰かも同様に、成功するまでゲームを繰り返しているから、A のゲーム・ クリアはその関係者によってリセットされてしまう。
ことを回避するために A だけが人生のやり直しが可能だとすれば(=Aだげが意識を持ち、他の全人類は全て意識を持たないロボットのような存在だとすれば)、矛盾は回避できるだろうか?
つまり、独我論を採用すれば矛盾は回避できるだろうか?
確かに矛盾は回避できる。だが、独我論を採用した時点で
このように失敗した人生がうまく成功するまで、人は何度も同じ人生を時間を遡って繰り返す。あたかもコンピュータ・ゲーム(シューティングゲーム)の中の主人公のように、殺されてゲームオーバーになるたびに、リセットして同じゲームを最初からやり直すようなもの。
見事、ゲームクリアすると、これまでの人生のステージを終え、別のステージに進む。これが彼の輪廻仮説。
といった面倒な手続きは原理的に不要となる。なぜなら、問題の主人公 A だけは独我論によって
- 他の全ての人類のようなロボット的存在ではなく意識を備えた特別な存在
であることが前提になっている。その特別な存在が、ロボット的存在と同じような境遇で生活することはありえない。皇帝や独裁者、大統領が平民と全く同じ生活をするようなもの。平民と同じ生活をすれば、それは平民でしかない。
特別者が本来の自分を一時的に忘れて、平民の生活を過ごす可能性
精神世界ではこの説を説いてきた。この説も以下のように破綻している。
(途中)
(2024-10-13)