Nick Kyle が「David Paulides の主張する Missing-411 は誤りだ」と主張 ⇒ Nick Kyle も現象を見誤っている
前置き
"The Missing Enigma" の Nick Kyle が David Paulides の主張を細かく検証し、その記述内容の重要な箇所が 歪んでいる/正しくない と指摘している動画。
Nick Kyle は当初、David Paulides の Missing-411 の主張を信じていたが、自ら個別事例を調査するに連れ、もはや信じられなくなったと言う。
彼は現在、
- 大半の Missing-411 事例は怪奇現象としてではなく、ありふれた要因による不幸な出来事として捉えるべきだ
としている。
Youtube 動画(51:29)
Missing 411 & The Future Of Missing Person Research
コメント
Nick Kyle は丹念な調査を積み重ねてきた
Nick Kyle は Missing-411 の具体的事例を幾つも詳しく調査してきた。当時の新聞報道はもちろん、FOIA 資料請求や、現地を訪れたり、関係者から話を聴いたりしてもいる。
落とし穴
だが、そういった詳細調査にも落とし穴がある。比喩的に言えば、
- 「木を見て森を見ず」に陥り易い
PC のモニタ画面を直近から高倍率のズーム・カメラで見るようなもので、個々の RGB 発光素子の光は見えるが、文字や絵面はもう認識できなくなる。
つまり、Nick Kyle はミクロ面(=個々の出来事のありふれた面)は見逃していないが、マクロ面(Missing-411 事例に通底する統計的にも異常な面)は、もう見えなくなってしまっている。
だから、Nick Kyle がいくら個々の事例の細部のデータを持ち出して、
- 何も不可解な出来事は起きていない
と主張しても、Missing-411 に関心のある人々の多くは納得しない。そして彼の主張に納得しない人が多いことは Nick Kyle 自身がこの動画の最初で認めてもいる。
日本的に例えると Nick Kyle は『山怪』現象を否定
Missing-411 現象は日本では 殆ど知られていない筈。だが、日本にも Missing-411 現象が昔から発生していた。それが柳田国男の『遠野物語』や近年の田中康弘の『山怪』三部作などに記載されてきた。
簡単に言えば、山に入った猟師や山菜採りの里人が、
- 狐狸に化かされた、
- 山の神の怒りに触れ怪奇現象を体験した、
- 慣れ親しんだ道で迷った
という不可解な現象のこと。
日本人に理解しやすく表現すれば、これらの『遠野物語』や『山怪』に記載された現象を Nick Kyle は「ありふれた要因」で説明できると主張している。
なお、『遠野物語』や『山怪』に記載された現象や、狐狸に化かされたという事例、昔は無数に報告されていたが近年は激減した憑霊事例については民俗学者も精神医学者もその本質を捉え損なっている。一言で言えば、
- 不可解な事例が発生(UFO で言えば Betty Hill の abduction 事例)
- それがミーム化(UFO で言えば、その後に abduction 事例が多発し、そこからさらに hybrid がどうの、人類意識の進化がどうの、ET からの警告がどうの…と展開)
の 2. の面だけしか民俗学者には見えず、だから特定地域社会ではびこった婚姻関係の障害となる迷信が…といった民俗学的「解明」しかなされていない。
精神医学者は 1. の面を基本的には精神病としてしか捉えていない。それは間違いではないが、直接的要因ではなく結果の診断であり、現象の限られた一面でしかない。